伴走支援成果事例紹介

地方の植物資源とイモムシを活用したお茶製品『虫秘茶』の産業化支援

支援時の部署名:イノベーション推進部
関連する事業等:スタートアップ支援

支援企業名株式会社虫秘茶

蛾の幼虫の糞と水、アルコールのみで作られた「虫秘茶」のスピリッツ

相談のきっかけ虫の糞がお茶に!?研究の傍らで偶然に発見した『虫秘茶』とは

 株式会社虫秘茶 代表取締役の丸岡さんは、京都大学大学院農学研究科に所属する学生起業家であり、植物の葉を食べた蛾の幼虫の“糞”を原料としたお茶「虫秘茶」の開発者です。
 金融機関からの紹介が相談のきっかけですが、丸岡さんの「先輩からもらった蛾の幼虫に桜の葉を餌として与えたところ、糞から良い香りがしたのでお湯を注いで飲んでみると、とても美味しかった。」という印象的な開発エピソードに驚きつつ、創業間もない同社に対する支援の可能性を強く感じ、支援開始に至りました。

課題と支援内容高付加価値お茶製品の開発や本格的なビジネス展開に向けて

 虫秘茶は土地固有の生態系を反映した「植物」と「昆虫」の掛け合わせにより生まれ、「未利用資源の活用」という点において地方創生や環境問題の解決に繋がるプロダクトであり、その味や香りも国内外の著名なレストランやバーから高い評価を受けていました。
 一方で、茶葉としての販売のみでは販路が限られること、単価が上げづらいことといった課題を解決するため、「エコノミック・ガーデニング支援強化事業」補助金を活用し、より取り扱いがしやすく、高付加価値な商品として、虫秘茶を原料としたアルコール飲料の開発支援を行いました。
 また、新製品の開発支援以外にも、今後の本格的なビジネス展開に向けた事業計画の策定や企業認知の拡大が必要であると判断し、スタートアップに特化したピッチ交流イベント「京都エンジェルコミュニティ交流会」への登壇を通じて、専門家との事業計画ブラッシュアップや、エンジェルアドバイザー、VC・金融機関、支援機関とのビジネスマッチングを推進しました。

京都エンジェルコミュニティ交流会 登壇の様子(2024/12/6 リーガロイヤルホテル京都)

支援の効果開発したスピリッツは即完売!他機関とも連携し更なる支援へ

 これらの結果、植物・果実と蒸留技術とを組み合わせた商品開発を得意とする蒸留所と連携し、アルコール飲料の試作開発に成功。
 その後、桜の葉を食べた蛾の幼虫「オオシモフリスズメ」と「オオミズアオ」の糞と、水、アルコールのみを原料としたスピリッツを少量生産し、50本限定でオンライン販売を行ったところ1週間足らずで完売するほどの反響があり、丸岡さんも更なる商品開発に確かな手ごたえを感じられたようです。
 「京都エンジェルコミュニティ交流会」当日にはピッチ発表以外にも虫秘茶の試飲会を行い、京都府内外のスタートアップ関係者に対する認知を拡げることで、京都市のスタートアップ支援プログラムへの応募・採択や京都リサーチパーク株式会社による拠点活用支援に繋げることができました。

担当者からのコメント

 京都府の「起業支援事業費補助金」への採択をきっかけとして起業した丸岡さんに対し、「エコノミック・ガーデニング支援強化事業」や「京都エンジェルコミュニティ交流会」といった府・財団の施策を提供することで、一貫性のある支援ができました。同社製品の更なる量産化や売り上げ拡大に向けて、支援を継続していきます。

ページの先頭へ