5.現在の研究開発関係のアウトソーイング(外注)の現況    
   
 大学では、大学内にない技術を活用した検査・分析や情報システム・ソフトウェアの開発、研究や開発の試作製作が外注されている。試作に関しては、研究成果のプレゼン用の機器や研究機器製作のためのオリジナル部品が主な発注内容となっている。

 大企業では、試験・検査・分析とともに、情報システム・ソフトウェアの開発、設計、製造装置開発が外注されている。食料品では、製造装置開発、機械器具製造業では、設計、新開発部品の試作が比較的多い。発注時に重視される技術には、ナノテク、微細加工があげられている。

 中央研究所では、分析が圧倒的に多く、続いて、試験、素材開発が発注されている。大企業で多かった情報システム・ソフトウェアの開発は少ない。試験・分析は化学工業分野で多く、機械器具製造業では、素材開発、製造装置開発が多くなっている。

 ベンチャー企業では、試験とともに新製品試作が多く、続いて、設計、分析となっている。開発段階から生産段階への移行期にあるため、試作発注が多くなっているといえる。特に、機械器具製造業では、約半数が、設計を外注している。


 
       


  6.研究開発関係のアウトソーイング(外注)の条件    
   
アウトソーシング先の決定
 研究機関とベンチャーは、研究開発力・技術力を重視。一方、大企業はコスト及びスピードを重視しており、開発を伴う発注より下請け型発注が多いことと推測される。いずれも、近接性は障害になっていない。

選択方法
 大学では、研究者の紹介や大学に出入りしている業者に相談・発注をしている。
企業はいずれも、従来からの取引先からの選択がほとんどである。大企業とベンチャーでは、取引先開拓に公的機関も活用している。一方、持ち込みの提案での選択は少ない。

信用付与
 実績が重視されている。企業では、守秘義務や取引内容の信用については、委託契約の締結により保護している。

課題点
 発注先の製品・技術力に関する情報が行き渡っていない。新たな取引を生み出して行くためには、受注企業の情報発信が重要になってくる。


 
       


  7.研究開発関係のアウトソーイング(外注)の将来性    
   
(1)アウトソーシング(外注)拡大の見込み
 大学では、2割が「拡大する」意向がある。一方、「あまり拡大しない」と「拡大しない」とをあわせると2割強が拡大を考えておらず、3割弱が「どちらでもない」と答えている。
 現在「1.なんらかのアウトソーシングを行っている」(13大学)ところは4割が「拡大する」意向を持っている。
 大企業では、4割が「拡大する」意向があると答えている。一方、「あまり拡大しない」と「拡大しない」とをあわせると1割強が拡大を考えておらず、半数弱が「どちらでもない」と答えている。現在アウトソーシングを行っているところ(31社)では、半数に今後も「拡大する」意向がある。業種別では、「食料品」、「化学工業」、「機械器具製造業」などで拡大意向が高い。
 中央研究所では、「かなり拡大する」と「拡大する」とをあわせると5割強が拡大の意向があると答えている。一方、「あまり拡大しない」と「拡大しない」とをあわせると1割強が拡大を考えておらず、1/3が「どちらでもない」と答えている。現在全て自社内で行っているところ(4社)でも1社に「拡大する」意向がある。業種別では、「食料品」「繊維」「素材工業」などで拡大意向が高い。
 ベンチャーでは、「かなり拡大する」(12%)と「拡大する」(41%)をあわせると、5割強に拡大意向がある。一方、「あまり拡大しない」と「拡大しない」とをあわせると2割強が拡大を考えておらず、2割が「どちらでもない」と答えている。現在アウトソーシングを行っているところ(38社)では、6割に今後も「拡大する」意向がある。「全て自社内で行っている」ところ(10社)でも3割拡大する意向がある。業種別では、「機械器具製造業」、「その他製造業」などで拡大意向が高い。

(2)期待される外注内容
 大学では、半数以上が研究や開発部門の試作をあげており、次に、工法・製造装置の開発や改良が続いていることから、研究実験機器や研究成果の試作等が、今後も中心となっていくと思われる。その中でも、電子回路の設計を含めた機器製作ニーズもでてきている。
 大企業では、試験・検査・分析・計測が多く、特に、食料品、化学工業で多い。次に、研究、製品開発、情報システム・ソフトウェアの開発が続いている。重視する技術では、ナノテク、微細加工、材料開発、環境技術などが上がっている。
 中央研究所では、試験・検査・分析・計測、素材開発が多い。特に、素材や材料開発、微細加工技術等の開発関連技術において外部力の活用ニーズがある。また、複合技術領域に対応できることも要求されてあり、受注企業の連携が必要となっている。
 ベンチャー企業では、約半数が、加工、工法・製造装置の開発をあげている。現在活用しているアウトソーシング(外注)では、試作が多い点から、今後、生産段階に展開していくためと推測される。

 
       



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