病院内覧会でのユーザー評価でより良い製品開発の実現へ
支援企業名医療法人社団志高会 三菱京都病院
病院内覧会の様子(2024/12/26)
相談のきっかけ医療・介護機器製造業界の現状
これまで、病院・介護施設等向け製品開発の継続的な伴走支援をする中で、医療現場従事者の声を反映した製品企画や設計が行われておらず、量産開始後に不備に気付くことや設計の大幅な手戻りが発生したという事象の報告を複数回受けていました。そこで、病院や介護施設等で医療・介護従事者からのフィードバックをいただく内覧会事業を実施することとなりました。
課題と支援内容三菱京都病院にて病院内覧会を開催
開発初期の早い段階で医療・介護従事者目線でのフィードバックをいただくことで、製品開発着手の判断材料の1つとすることや製品のブラッシュアップにつなげるとともに、企業の開発工数低減と使い勝手の良い製品開発の両立実現に繋げたいという目的のもと内覧会を実施したいと三菱京都病院に相談したところ、賛同いただきました。また、病院側にも新たな課題発見に繋がる場となるなどのメリットがあるとのことで、事業効果と継続性の両立を判断するための実証事業として2023年度から開始しました。
2023年度は10社、2024年度は5社が開発中の製品を展示し、トータル約90名の病院内医療従事者の方に参加いただきました。
病院内覧会の様子(2024/1/17)
支援の効果製品の改良・販売の実現に向けて
医療・介護機器の製造・販売企業にとって医療現場の方の声を聴く機会が少ないため、内覧会開催後のアンケートには「医療現場の方に直接アドバイスいただけて貴重な機会であった」との回答が多くありました。また、数社は開催後に病院への試作品の貸し出しなど、連携をとっています。
2023年度に出展した株式会社リバース・フィット・デザインは、口腔衛生に介助が必要な方のために開発した、口腔内を照らす「ライト付き歯ブラシホルダー」を展示しました。当初は個人用の製品としての販売を想定していましたが、内覧会においてライト付き歯ブラシホルダーを消毒・滅菌でき、リユースできるよう改良されれば病院でのニーズはあるのではないかと看護師や歯科衛生士から意見があり、滅菌の試行を重ね耐久性を検討しました。結果、オートクレーブ(高温で高圧な飽和蒸気で細菌やウイルスを滅菌する機械)では問題なかったものの、減圧洗浄では防水機能が保てずリユースは不可であるとの結論に達しました。
担当者からのコメント
2回の実証事業の結果、医療・介護機器の製造・販売企業にとっても、実際に機器を使用する医療機関にとってもメリットの多い事業であることが明らかとなったため、今後も病院内覧会の開催を継続したいと思います。また、他の医療機関でも開催するべく、協力いただける医療機関を見つけていきたいと思います。