伴走支援成果事例紹介
2025.01.14 更新
マッチング(販路開拓・連携)経営改善・継続

伝統産業厄除け粽を継承するために!高齢化を機械化でカバー

支援時の部署名:市場開拓支援部
関連する事業等:中小企業グループ活動支援

支援企業名ハムス株式会社

相談のきっかけ厄除け粽製造者の高齢化。持続可能な産業にするための自動化は可能なのか。

放下鉾の鉾町はもともと上賀茂の農家へ粽の製造を委託していましたが、高齢化により令和5年の祇園祭をもって受託を終了したいとのことで、伝統産業である厄除け粽の継続的な製造が困難になりました。

このままでは厄除け粽産業の継承が危ういというご相談をうけ、機械化で職人でなくても製造できるようにしたいといったご相談を、放下鉾保存協会の理事(京都インバン株式会社会長)である松原さんからいただきました。

課題と支援内容文化継承のための人材、材料が不足。

放下鉾保存協会理事の松原さんのご相談に対し、まずは人材不足という課題を自動化によって解決できないかと考えました。
しかし、技術的に自動化できる企業がほとんど見当たらず、対応が難しいと思われていました。

そうした中、京都産業21が支援している京都自動設備支援ネットワーク協議会(チーム京都)に相談を持ち掛けたところ、縫製工程の自動化を行っており、特に伝統工芸の継承について課題解決をしたいという強い想いを持たれているハムス株式会社が手を挙げていただき、マッチングすることができました。

また、5,000本の粽の作成に1反分の田んぼの稲わらが必要ですが、これも不足していることから、材料をどこかで調達しなければなりません。稲わらを乾燥し、結束して一部裁断をするといった手間のかかる作業ですが、これまでの京都産業21の支援により培われた関係性の中で、京北にて13ha(130反)の稲作を行っている有限会社山国さきがけセンターに協力を求めることができました。

支援の効果職人でなくても粽作りが可能に!材料も確保して持続可能な産業へ。

ハムス株式会社により、半自動粽作り機が完成し、職人でなくても粽製造が可能となりました。

他の鉾も同じような状況で、機械化して作業を標準化し生産性向上を図りたいと思っていることや、亀岡や九州にも同様の粽を使う祭りがあることから、今回の事例に留まらず、他の粽製造にも適用させることができると思います。

また、有限会社山国さきがけセンターで1反分の稲わらが確保できたことで、原材料供給の課題が大きく改善されました。

放下鉾保存協会理事の松原さんは現在「一般社団法人 厄除チマキ保存会」を立ち上げ、将来は同じ課題に直面している他の鉾の粽づくりも引き受けることを目指しています。また、自動化できた現在でも原材料費や人件費の高騰等、課題はたくさんありますが、初めて粽を作る人が簡単に粽が作れるようになったという点で、大きな前進だったとの感想をいただいております。

担当者からのコメント

今回の事例では、伝統産業の人不足、モノ不足に対して伴走支援を行い、課題解決につなげることができました。
粽の製造に限らず、伝統産業界に携わる方の高齢化は社会課題の1つであるため、他の伝統産業の維持にも応用できればと考えております。

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