アフリカの水問題解決を目指した井戸水料金自動回収システムの開発支援
支援企業名株式会社Sunda Technology Global
実際のシステムと坪井さん(画像中央)
相談のきっかけ機器不良が頻出 モノづくりの悩みを相談できるパートナーが欲しい!
代表取締役の坪井さんがアフリカ・ウガンダで国際協力機構(JICA)の海外協力隊として活動した経験から、アフリカの水問題解決を目指し、2020年に井戸水料金の自動回収システムを開発するスタートアップを起業しました。
ソーラーパネル、バッテリー、水量計といった部品から構成される同社のシステムは、井戸に直接設置され、利用者は必要量をモバイルマネーで支払うことで安全な水を手に入れることができます。JICAや政府からの期待も大きく、初回相談時には既に100台以上のシステムがウガンダ国内に導入されていました。一方でエンジニア人材の不足などを理由として機器不良の頻出が課題となっており、坪井さんから「モノづくりの悩みを相談できるパートナーが欲しい」との要望を受け、支援を開始しました。
課題と支援内容仕様確定が急務!〝人・モノ・カネ”を総合的に支援
機器不良の課題解決のためにはシステムの本格的な普及前の仕様確定が急務であると判断し、京都試作ネットとのモノづくりサポートを開始しました。
アフリカ市場を想定したモノづくりに当初は試作ネットメンバーも困惑されていましたが、構成企業の中にアフリカでの坪井さんを知る方がいたという偶然もあり、全面的な協力を受けることができました。
その後はシステムの早期普及に向けて素早く開発したいSUNDA社と、普及のためには仕様確定を優先すべきであるという京都試作ネットそれぞれの思いから平行線をたどる場面もありましたが、ウガンダ・日本間でお互いを訪問することで、技術的な理解だけでなく信頼関係も深まり、機器改善のスピードが加速しました。
また、活動資金と人材に関する課題に対し、個別施策や企業のマッチングに加えて府・財団主催のスタートアップ向けピッチ・交流イベント「エンジェルコミュニティ交流会」への登壇を提案しました。事前のピッチコンサルティングでは、同社のビジネスがアフリカ全土に広がるポテンシャルを有していることをアピールできるよう、専門家と連携してピッチスライドのブラッシュアップを進めました。
支援の効果基幹部品ユニット〝京都キット”の現地出荷を開始!
資金支援では、当財団の補助金である「京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業」補助金を活用し、システムの試作開発費や量産化に向けた仕様確定を進めました。
モノづくり支援では京都試作ネットと既存協力企業によるモノづくりサポート体制を確立できました。人材獲得支援についても、島津製作所にエンジニア人材の出向を決定いただき、精力的に活動いただいています。
これらの結果、現在、井戸に設置する基幹部品をユニット化した「京都キット」の現地への出荷が順次進められています。
担当者からのコメント
今回の事例では、金融機関・VC・エンジェル投資家・専門家・事業会社を巻き込んだ包括的な伴走支援を行えました。
特に「エンジェルコミュニティ交流会」への登壇以降、同社に対する賛同者・協力者が増えたことを実感し、社内のリソースや情報が不足しているスタートアップ・起業家に対し、幅広い分野、業界への周知をスピーディーにサポートすることで、事業が好転するということを経験できました。