ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2015-3(No.109)

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クリエイティブ京都M&T 2015-3(No.109)

15 Management & Technology for Creative Kyoto 2015.3 研究報告お問い合わせ先京都府中小企業技術センター 基盤技術課 材料・機能評価担当 TEL:075-315-8633 FAX:075-315-9497 E-mail:kiban@mtc.pref.kyoto.lg.jp1.はじめに 昨年度の研究では、水中パルスプラズマ法(パルスグロー放電)により11種類の電極を用いて、33種類のナノ粒子を作製し、基本特性や活用技術について検討しました。 ナノ粒子の基本特性の把握では、色彩、粒径サイズ、形状などの観察を実施し、作製条件により多様な形状、大きさのナノ粒子を作り出せることを確認し、ナノ粒子の活用技術では、プラズモン色を活用した素材開発への利用が可能であることや溶液中の有機物を粒子に吸着させることが可能であることを確認しました。そこで、今回は、産業利用に活用できる技術へと進展させるために「無電解Niめっき液中に分散した微量有機成分の検出」や「ナノ粒子含有の樹脂やめっき薄膜の作製」について検討しましたので紹介します。2.無電解Niめっき液中の微量有機成分の検出 ナノ粒子液に無電解Ni液を添加して無電解Ni液が含有したナノ粒子液を複数種類(添加量が多い場合、添加量が少ない場合)作製し、沈殿した黒い塊りと上澄み液の元素及び組成分析を行い、粒子表面に吸着した無電解Ni液成分の検出を行いました(図1)。ナノ粒子表面に微量有機成分のみが観測され、無電解Ni液の主成分である硫酸Niの成分は観測されず、無電解Ni液中の微量有機成分の捕集が可能であることを確認しました。3.Niめっき膜中にナノ粒子を分散させる検討 電解Niめっき液にAgナノ粒子を混入させ、電解めっき処理を行い、Niめっき膜中にAg粒子を分散させる検討を行いました。Agナノ粒子が含有すると周りのNi結晶が、ナノ粒子を中心に結晶成長(図2)していることがわかり、ナノ粒子を均等に膜中に含有させることができればNiめっき膜の物性を変えることができる可能性を確認しました。4.無電解Niめっき処理により、Ni膜をCuナノ粒子表面に成膜させる検討 90℃に温めた無電解Ni液に、Cuナノ粒子を混入させ、Cuナノ粒子表面へのNiめっき処理を検討しました。無電解Niめっき処理によりCu粒子表面に1μm程度のNi膜が成長していることを確認しました(図3)。5.ナノ粒子が分散した透明電極薄膜の検討 複数種類のナノ粒子を、透明電極材料であるPEDOT/PSSに少量添加し、ガラス板に成膜した膜の抵抗値を調べました。粒子の種類や形状によって、抵抗値が変化することがわかり、粒子の表面吸着状態を制御することにより、導電性の向上が期待できることを確認しました。6. まとめ ナノ粒子を活用した技術として、微量有機成分の検出やナノ粒子含有膜の検討を行いました。ナノ粒子を利用した産業技術への活用を期待させる結果が得られ、ナノ粒子を活用した製品開発の研究に、今後展開していきたいと考えています。図1 ナノ粒子含有液に無電解Ni液を添加した状態図3 無電解Ni処理をしたCu粒子の断面元素分布表1 含有粒子と膜の抵抗値図2 電解めっきNi膜の断面元素分布無機ナノ粒子を利用した高機能部材の調査・研究(Ⅱ)粒子抵抗値(kΩ) 粒子抵抗値(kΩ)Ref(PEDOTのみ) 30 Zn-2 130Fe-1 × Ti-1 400Fe-2 90 Ti-2 70Fe-3 60 Cu-1 300Ag-1 31 Cu-2 300Ag-2 79 Cu-3 75Au 500 Pt 130Zn-1 61 Si 38