ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2015-3(No.109)

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クリエイティブ京都M&T 2015-3(No.109)

13 Management & Technology for Creative Kyoto 2015.3 環境セミナーRoHS指令に代表される化学物質規制の内容を正しく理解し、日常の品質管理に役立てていただくため、有害物質関連分析の専門家である講師をお迎えし、セミナーを開催しました。その概略をご紹介します。お問い合わせ先京都府中小企業技術センター 基盤技術課 化学・環境担当 TEL:075-315-8633 FAX:075-315-9497 E-mail:kiban@mtc.pref.kyoto.lg.jp環境セミナー 2006年7月にEUから始まった環境規制は全世界に波及し、各国で規制を敷く傾向が強まりました。 2011年7月には改正指令RoHS2が公布され、対象製品の拡大、禁止物質の追加検討などが盛り込まれました。整合規格としてEN50581が定められ、サンプリングや分析方法についてはIEC62321が発行されました。 IEC(国際電気標準会議)に設立されたTC111は電気電子製品全体の環境技術課題を検討する専門委員会で、日本が議長を務め、TC111/WG3には日本から4名が参加、IEC62321の規格化に取り組んでいます。 これに対応して日本国内でも委員会が構成されました。日本産業界を代表した意見をIECに提案し、規格化において日本の産業の競争力を阻害する要因を排除すること、規格の内容・情報を把握することを目的としています。「世界的な環境規制に対する国際標準化動向」 株式会社東芝 環境推進室 参事 竹中みゆき 氏 2002年頃、ゲーム機から基準値以上のカドミウム検出、自主回収などの対応を契機に、RoHS指令などが注目され始め、カドミウム等の分析に関する依頼が急増しました。当時、確立した分析法はなく、「ICP-AESを用いた分析を行うこと」など断片的な指示だけでした。その後、IECに横断的な技術委員会が発足し、2008年にIEC62321が発行され、2013年に改定されるなど、分析法の規格化整備が進んでいます。 当研究所では,分析依頼に対応するため,次のとおり試料毎に前処理条件の検討から行ってきました。 樹脂中のカドミウム・鉛の分析は、分解酸の種類により、沈殿の生成、目的物質の揮散などの問題がありました。試薬や条件の検「RoHS指令対策の分析評価技術」  京都市産業技術研究所 金属系チーム 南 秀明 氏 当センターで実施した事例から、背景、分析結果、その後の対応などを紹介しました。一例として、Cr(Ⅵ)に関するものがあります。 「亜鉛めっき後のネジの表面処理を3価のクロム化成処理と指定して外注したが、製品の色調から6価のクロメート皮膜ではないかと疑われるため、確認したい」との相談。試料を熱水で抽出し、ジフェニルカルバジド吸光光度法で確認したところ、Cr(Ⅵ)が溶液中「化学物質規制関連の技術相談・依頼試験から」 京都府中小企業技術センター 基盤技術課 関 浩子 IEC62321は、機械的試料調製、スクリーニング法、化学的前処理方法、精密測定法から構成されます。具体的には、従来の蛍光X線分析法に加え、臭素系難燃剤のスクリーニング法として、燃焼管分解-イオンクロマト法が追加されました。水銀については、日本で汎用的なTDA(加熱気化金アマルガム)-AAS(原子吸光分析法)が追加されました。鉛・カドミウム・クロムに関しては、ICP-AES(ICP発光分光分析法)、ICP-MS(ICP質量分析法)、AASのほかAFS(原子蛍光分析法)が追加されました。 また、クロムについては、Cr(Ⅵ() 6価クロム)のスクリーニング法として全クロムの測定が認められるようになりました。 臭素系難燃剤・皮膜中の6価クロムはこれまでAnnex(参考文書)に定められていましたが、本規格に組み入れ、2015年4月から7月に公開予定です。 現在、TC111/WG3では、新たな試験項目として、フタル酸エステル類の分析法が検討され、日本も積極的に協力して国際規格の策定を進めています。討により良好な結果が得られました。また、新たに考案した「足つき時計皿」により分解時の突沸を軽減することができました。 鉛フリーはんだ中の鉛の分析は、溶解酸の検討を行い、ICP-AESで良好な結果を得ています。 ICP-AESはRoHS指令対応の分析法として有用ですが、水溶液化に手間が掛かるため、現在、省力化・迅速化の観点から、レーザーアブレーションによる固体試料の直接分析法を検討しています。樹脂・はんだ・真鍮などの試料でレーザー照射を行い、ICP-AESのプラズマへ導入したところ、数100ppm程度のカドミウム・鉛のピークが確認でき、これからのICP発光分析法として期待しています。 RoHS指令では今後も分析対象元素の拡大が予想され、分析データの信頼性を高めることは重要です。そのためにも,分析技術に関して公設試も積極的に提案していきたいと考えています。に5μg検出され、Cr(Ⅵ)を含むことがわかりました。クロメート処理液の混入等が疑われるため、処理メーカーと交渉され、工程管理を徹底するよう改善が行われました。 このように当センターでは、化学物質規制に関する管理・対策の支援を行っています。