ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2015-2(No.108)

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クリエイティブ京都M&T 2015-2(No.108)

世界で初めてダチョウ由来の抗体の大量生産に成功 オーストリッチファーマ㈱は、2008(平成20)年、京都府立大学発のバイオベンチャー企業として設立しました。発端は、私(塚本康浩)が同大学生命環境科学研究科教授として、動物衛生学、とりわけ家畜の感染症について研究する中で、世界で初めてダチョウを用いた抗体を大量に作製する方法の開発に成功したことでした。 地球上で最大の鳥類であるダチョウは、病気やケガに強く、60年も長生きします。鳥類を研究する中でダチョウの生命力に着目したのが、研究を始めるきっかけでした。ダチョウの強さの秘密は、その抗体にあります。生物は、体内にウイルスなどの異物や病原体(抗原)が入ってきた時、体内で抗体を作り出し、抗原と結びついて無害化するという自然の防御機能を持っています。研究の結果、ダチョウの持つ抗体は、従来の生物の抗体と比べ、際立って威力が強いことがわかりました。 一般にマウスやウサギ、ニワトリなどにインフルエンザなどの感染症の抗原を注射し、その体内で作られる抗体を抽出してワクチンなどを作ります。しかし、こうした生物由来の抗体は大量生産が難しく、生産コストが高いのが難点でした。こうした積年の課題を一挙に解決するのが、このダチョウ由来の抗体です。 親鳥に抗原を注射すると、その鳥が産む卵にも抗体が移ります。私たちはその仕組みを利用し、ダチョウの卵黄から抗体を精製する方法を開発しました。難しかったのは、いかに高純度で抗体を抽出、精製するかです。最適な精製条件を見つけ出すまで試行錯誤を繰り返し、3年近くかかって、極めて高い純度で抗体を精製する方法を確立しました。 こうして1羽のダチョウの卵から、半年間でウサギ800羽分もの抗体を精製することができるようになりました。これによって、低コストで大量に抗体を生産することが可能になります。しかも同じ卵から作られた抗体なら品質を安定・均一に保つことができるため、品質保持の面でも有効です。さらにダチョウの抗体は熱に強く、加工しやすいというメリットもあります。こうして製品化の可能性が見えてきたことから、事業化を決意し、2008(平成20)年、起業に至りました。インフルエンザに対する抗体を含ませたマスクが大ヒット  抗体の研究開発、および試作を行うオーストリッチファーマ㈱に対し、生み出した抗体を製品化し、広く販売する役割を担う企業として、2009(平成21)年、オーストリッチファクトリー㈱を設立しました。オーストリッチファクトリー㈱では、オーストリッチファーマ5 Management & Technology for Creative Kyoto 2015.2オーストリッチファーマ株式会社は、京都府立大学発ベンチャーとして平成20年に設立。平成23年度中小企業技術開発促進事業(企業連携型)に採択され、オーストリッチファクトリー株式会社とともにダチョウ由来の抗体を使った化粧品を開発しました。オーストリッチファーマ代表で京都府立大学教授でもある塚本康浩教授とオーストリッチファクトリー代表の山本亮平氏にお話を伺いました。Wind ofinnovationイノベーションの風 第11回企業連携・産学公連携による研究開発補助金を活用しイノベーション創出を目指す中小企業を紹介します。オーストリッチファーマ株式会社C o m p a n y D a t a代 表 者/塚本 康浩所 在 地/京都府相楽郡精華町光台1-7 けいはんなプラザ・ラボ棟電   話/0774-95-5145資 本 金/500万円創   業/2008(平成20)年6月事業内容/ダチョウ抗体、生薬、医薬品、医薬外品、健康食品の製造と販売代表企業オーストリッチファクトリー株式会社C o m p a n y D a t a代 表 者/山本 亮平所 在 地/京都市伏見区桃山町泰長老154-2電   話/075-621-3880資 本 金/500万円創   業/2009(平成21)年11月事業内容/機能性食品の研究開発、食品の製造販売構成企業(写真:向かって左から)オーストリッチファーマ株式会社 代表取締役社長 塚本 康浩 氏  オーストリッチファクトリー株式会社 代表取締役 山本 亮平 氏取 材1羽のダチョウから半年でウサギ800羽分の抗体を精製できる研究の結果、高純度で抗体を精製する方法を確立