ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2015-1(No.107)

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クリエイティブ京都M&T 2015-1(No.107)

お問い合わせ先京都府中小企業技術センター 中丹技術支援室 TEL:0773-43-4340 FAX:0773-43-4341 E-mail:chutan@mtc.pref.kyoto.lg.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2015.1 18技術トレンド寄稿インのあり方。[例:①車椅子のフットレストが自動開脚し、無意識のうちにヘルパーの利き足が要介護者の重心軸、車椅子の真下にまで差し込まれる。②空気圧により車椅子の座面が持ち上がることで要介護者が前傾になり、ヘルパーが抱きかかえる際に適正な姿勢になりやすくなる。③ベッド高を、車椅子移乗高、褥瘡の手当・おむつ交換高など、簡単なプリセットスイッチで設定することにより、介護作業に対応した適正な介護姿勢を保つことができる。]2)自助能力誘導性デザイン 介護用具を使用する際に無意識のうちにも要介護者の身体的・精神的能力を高め、自立に向かわせることのできる介護用具、自助具デザインのあり方。[例:①ベッドやトイレからの立ち上がりや腰下ろし機能は困難でも、つかまり歩きはできる高齢者のための上下動支援型歩行器「Walking Aid」の設計。②移動用の手すりを要介護者の障がい状況に合わせて設計することで、本人の自助能力の向上につながる。]3)要介護者の介護参加性デザイン 要介護者が介護サービスの一方的な受け手となるのではなく、介護時に参加できるための介護用具デザインのあり方。[例:ヘルパーが背中に把手の付いたベストを着用することで、移乗介護や寝返り介護時に、ヘルパーの労働軽減に役立つとともに、要介護者の介護への参加を促し、本人の自助能力の向上にもつながる。]4)一連介護合理性デザイン 個々の介護用具と介護動作の関係のみに注目するのではなく、一連の介護用具・介護動作の総体に焦点を当てて介護労働の軽減を目指す合理的な介護用具システムのあり方。[例:複数の福祉機器/環境を関連付けて設計することで、例えば、ベッドやトイレ便器と車椅子が移乗時に自動固定することにより移乗介護時間の短縮や安全・安心な介護につなげることができる。]5)介護用具が「浮いている」ことの解決デザイン 在宅介護空間において、「畳にピアノ」のように、介護用具デザインが生活感覚、嗜好性、生活様式などに馴染まない問題を解決する感性的な介護用具デザインのあり方。[例:水洗型ポータブルトイレの開発により、室内での使用時に臭いが気にならず生活の質的向上につながる]6)「癒し・心の安寧」デザイン 要介護者を取り巻く用具環境において、精神的な癒しや心の安寧を得ることのできる介護用具デザインのあり方。[例:食事環境に合った楽しいエプロンのデザインや音楽の選択]7)十分なヘルパー介護技術 要介護者に対して質の高い介護サービスが提供でき、ヘルパーにとっても精神的・身体的負荷のかからない十分な介護技術。8)介護に関する制度的あり方の見直し 時間に追われるヘルパーの介護労働や身体的負荷の多い介護作業、適正な介護用具の開発・供与、家族の要望に添ったヘルパー業務の見直しなど、介護制度のあり方の再考。おわりに 本研究では、在宅高齢者介護における<要介護者><ヘルパー><福祉用具/環境>の三者間のあるべき関係について、(1)人間の尊厳を高めるためのデザインという視座に立ち(2)生活現場からの発想という視点から(3)ヘルパーの身体的精神的負荷の軽減、要介護者の自助能力の維持・向上、要介護者の介護への参加性、感性的な生活環境の向上などのデザイン課題について(4)ビデオ撮影・解析の手法を通して(5)何をデザインすべきか、いかにデザインすべきかの検討を進めてきた。 日本の高齢社会が、今後、いかに成熟し、いかにQuality of Lifeを向上させていくかを考えるとき、福祉機器開発における上述の指針が有効かつ不可欠な指針となり得ることを確信する。千葉大学工学部工業意匠学科卒業後、GKインダストリアルデザイン研究所、CFIデザイン事務所を経て、筑波大学・千葉大学にて大学院研究。内発的地域づくりに関して学術博士取得。その後、筑波技術短期大学(視聴覚障害者教育)、千葉大学にて教育と地域づくりに専念。1997年より、京都府立大学大学院・環境デザイン学科・教授。三橋 俊雄 氏 プロフィール表1 要介護者・ヘルパー・福祉用具/環境の不適合評価じゅくそう脱着しやすいエプロンの必要性車椅子で素早く身体を安定させるべき食事環境を楽しく、姿勢や向きも食後の口腔ケアが必要食後すぐに寝かせるのは良くない取り外しの便利なベッド柵ベッドまわりが雑然としている体位変換が多く本人がつらそうオムツ交換時に陰洗もすべきベッドが低く、中腰での作業が長いベッドの高さ調節の必要性部屋が狭い声かけが少ない利用者意識を高める工夫(食事・雰囲気)家族とのコミュニケーション介護の不安感(移乗時の手掛けなど)右手の残存能力を活用できるような介護その他介護制度介護技術癒し・心の安寧用具が浮いている一連介護合理性介護の参加性自助能力誘導性適正介護誘導性エプロン車椅子食事口腔ケア食後ベッド柵ベッドオムツオムツオムツ介護技術空間会話環境会話不安感自助4655865645461144610■■不適合の評価人数不適合の内容