ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2015-1(No.107)

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クリエイティブ京都M&T 2015-1(No.107)

「高齢者と子どもをつなぐ遊具(図2)」「上下動支援型歩行器・Walking Aid(図3)」「上肢に障がいを持つユーザーのための食事補助具(図4)」「ALS(筋委縮性側索硬化症)患者のための自力唾液吸引装置(図5)」などについて、学生たちとデザイン提案を行ってきた。また、こうした経緯と連動して、京都府中小企業技術センターと共に、「全盲学生のための食器」の3Dプリンターによる試作(図6)や、「介護用把手付きベスト(図7)」の開発などを手がけてきた。在宅高齢者介護に関するビデオ解析事例 京都市内にある高齢者福祉総合施設の協力を得て、在宅介護における<要介護者><ヘルパー><福祉用具/環境>の不適合(ミスマッチ)について、ビデオ撮影を通して実態把握・解析を進めながらデザインの検討を行ってきた。 実態調査は、A氏(食事介護・おむつ交換)、B氏(手動リフトによる移乗介護)、C氏(車椅子による移動介護)、D氏(シャワーキャリーによる入浴介護)、E氏(身体介護と家事援助)の5事例を対象に行った。 本稿では、脳卒中で左上下肢機能全廃、上肢左半身不随、認知症で会話不可能、トイレは全介助で常におむつを付けているという状況にあるA氏(82歳)の在宅介護について紹介する。 介護の流れは、①ベッド柵を外す、②車椅子へ移乗、③エプロンを着ける、④座り直す、⑤食事介護、⑥ベッド移乗、⑦おむつ交換、⑧体位変換などであった。 撮影後、在宅介護支援センター相談員、訪問介護提供事業者、介護老人福祉施設相談員、社会福祉協議会職員、ホームヘルパー、生活保護ケースワーカー、老人ホームパート、地方公務員、記者の計14名にビデオ解析を依頼した。表1に、三者(要介護者・ヘルパー・福祉用具/環境)の不適合に関して指摘の多くあった事項を示す。在宅高齢者介護に関する福祉機器デザイン開発の指針 上記実態調査を通して、生活現場における在宅高齢者介護の課題を抽出し、それらの課題解決に向けた福祉機器デザイン開発の指針と具体的なデザイン開発の事例について以下に示す。1)適正介護姿勢誘導性デザイン ヘルパーが無意識のうちにも適正な介護操作・介護姿勢がとれて、ヘルパーの身体的負荷を軽減することのできる介護用具デザ17 Management & Technology for Creative Kyoto 2015.1技術トレンド寄稿はじめに 福祉機器をデザインするためには、まず、デザインを、「問題を明確に位置づけることとその解決方法の、双方を含むプロセスである」[Industrial design is a process which embraces boththe establishment and definition of a problem, and themanner of its solution. (The association of QuebecIndustrial Designers)]として捉えることが大切である。 また、デザインを、「人間の尊厳を高めるための創造的活動」[We must encourage and foster a climate in which thefundamental human DIGNITY of all members of thesociety. (Etymology and Conceptualization of the Term"DESIGN", Frans Hendrickx)]であるとの視座に立ち、高齢者・障がい者の生活の現場から、何をデザインすべきか(what to design)、如何にデザインすべきか(how to design)を考えていかなければならない。 そのような姿勢で、私は、実際に障がいをもつ生活者を研究の対象として、「脳性小児麻痺児のための意思伝達装置」「四肢に不自由があるユーザーのための室内用移動機器・空飛ぶざぶとん(図1)」図1 空飛ぶザブトン図3 上下動支援型歩行器・Walking Aid図2 高齢者と子どもをつなぐ遊具図6 視覚障がい者の食器図7 介護用把手付きベスト図4 上肢障がい者の食事補助具図5 ALS患者のための自力唾液吸引装置京都府中小企業技術センター「介護福祉研究会」指導員の京都府立大学 三橋俊雄氏より上記テーマで寄稿いただきました。生活の現場から福祉機器をデザインする