ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-12(No.106)

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クリエイティブ京都M&T 2014-12(No.106)

「他社に抜きん出た特性」を持った製品の開発に成功 当社は、「グローバルニッチトップ(GNT)企業」と呼ばれています。なぜそう呼ばれる企業になったのか、当社の足跡を通じてお話したいと思います。当社は、微粒子を用いた高度な技術を強みに、ナノスケールで加工・観察・測定する機器を開発・製造しています。 今でこそ、GNT企業といわれるまでに成長した当社ですが、その道のりは決して順風満帆ではなく、困難を克服し、不況をチャンスに変えることで今日まで成長してきました。 創業は、オイルショック真っ只中にあった1975(昭和50)年、大手企業に勤めていた技術者たちが集まり、これまでにない発想で製品を作ろうと起業したのが、始まりでした。それまで海外製しかなかった半導体製造装置の開発が国を挙げて進められる中、当社も技術力が買われ、研究用として特注の装置の開発・製造を引き受けるようになりました。1978(昭和53)年、レジスト開発用及びロット管理用の世界初の電子線応用装置“ELS-3300”を発売し、日本の半導体製造に大きく貢献。続く1984(昭和59)年には、表面の粗さを三次元で捉え、ナノレベルで細密に測定できる解析装置“ERA-3000”を開発しました。こうして半導体産業の成長とともに、当社も成長を遂げていったのです。 企業規模の拡大とともに意志統一を図るのは難しくなります。そこで私が社長に就任した1992(平成4)年、製品開発に対する基本方針を確立し、全社に示しました。すなわち、「他社に抜きん出た特性」を持った製品を開発することです。一つには、「他の追随を許さない性能」を持つ製品を作ること。それでなければ、私たちが開発する意味はありません。次に、「性能が同等なら圧倒的な低価格」にしても収益が出るよう工夫すること。そして何より「まだ世にない新製品」を生み出し、技術の進歩に貢献すること。この方針は、現在も変わっていません。これを貫くことで、当社はGNT企業へと成長することができたのです。ナノスケールの加工を実現し、グローバルニッチトップ企業へ しかし、やがて国内の半導体産業が成熟期を迎えるとともに、韓国をはじめとしたアジア勢が急成長し、競争が激化するようになります。それに追い打ちをかけたのが、バブル経済の崩壊です。売上は落ち込み、このままでは早晩、会社が立ち行かなくなることは目に見えていました。そこで半導体市場での競争に見切りをつけ、将来を見すえて新しい事業の開拓に乗り出しました。目をつけたのが、半導体よりさらに微細なナノテクロジーです。微細加工を行う装置の開発に特化することを決断し、世界で初めて10nm以下の線描が可能な電子描画装置“ELS-7700”を生み出しました。これがまさに当社にとって第二の創業期ともいえる転換点でした。2001(平成13)年以降、アメリカを筆頭に世界がこぞってナノテク分野に参入しましたが、いち早く着手していた当社は、世界に先んじることができました。開発力を強化し、より高度な技術へと転換を図ることで、不況という大きな困難を克服したのです。 第三の節目は、2008(平成20)年のリーマンショックでしたが、この時期にさらに新しい発想の装置を開発したおかげで、その影響を最小限に抑えることができました。現在の当社を代表するGNT製品には、世界で最も細い4nmの線を描画できる超高精度高精細電子ビーム描画装置“ ELS - F125 ”やその最新型“ELS-G100”などがあります。また世界屈指の加工性能を誇る電子線ディスクマスタリング装置“EBW-F150C”、ナノレベルで硬さを測定できる超微小押し込み硬さ試験機“ENT-2100”、世界で初めて表面力の測定に成功した“ESF-5000”なども、発表と同時に世界から爆発的な反響を獲得。いずれGNT製品に成長するだろうと期待しています。実践と成功体験を重んじる人材育成 こう話すと、「そんな革新的な製品を開発できる優秀な技術者をどうやって集めているのか」と尋ねられます。しかし当社は、外から集めるのではなく、自社で「育てる」ことを重視しています。技術者を育てるには、「やればできる」という経験を積ませるしかありません。そのため当社では、入社2~3年から製品開発に携わらせます。能力があると見込んだ社員には、2年目から主担当として製品開発の中心的役割を担わせます。といって、放っておくわけではあ3 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.12 取 材KIIC会員交流会2014講演録本目 精吾氏[株式会社エリオニクス 取締役会長]KIIC会員交流会2014講演会 平成26年10月21日、ホテルグランヴィア京都において、株式会社エリオニクスの取締役会長本目精吾氏を講師にお招きして、KIIC会員交流会2014講演会を開催し、中小製造業の目指すべきことについてお話いただきました。変革、先進ものづくり立国へ~日本の中小製造業は何を目指すべきか~電子ビーム描画装置“ELS-F125”