ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-10(No.104)

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クリエイティブ京都M&T 2014-10(No.104)

Management & Technology for Creative Kyoto 2014.10 6ると、痛みを伴う関節症を起こします。近年、こうした軟骨損傷において、患者自身の細胞を使って軟骨を再生し、膝に戻すという再生軟骨治療の技術開発が進んでいます。細胞から培養した軟骨組織が、移植した後、関節軟骨としてきちんと機能を果たすには、十分成熟するまで培養する必要があります。しかし、培養段階で細胞が十分な硬さ(弾性率)を有するまで成熟しているかを見極めるのは容易ではありません。硬さを知るためには、引張式や圧縮式の試験機を使うのが一般的ですが、これらの測定法では、形も硬さも不規則なゲル状の軟組織をまったく同じ形状に整えなければならず、定量的な評価を得るのは極めて困難です。加えて、たとえ成熟度を確かめられても、引っ張ったり圧縮したりした軟組織は破壊され、移植に用いることはできません。 こうした問題を解決するために考案したのが、圧力による体積の変化を利用して計測する手法です。二つのチャンバ(圧力容器)の一方に試料を入れ、他方を空にして両方に圧力をかけます。空気の圧力で試料の体積が圧縮した時に生じる両チャンバの圧力の差(圧縮率)を差圧センサで検出し、弾性率を算出するというものです。この方法なら試料がどのような形状、硬さでも定量的な測定結果を得られます。また試料に触れずに測定できるので、組織や細胞が破壊されず、測定部を減菌処理すれば、試料を生体に移植することもできます。この「やわらか計」によって、軟骨細胞のみならず、筋肉や皮膚といった軟組織、ゲル、ゴム、肉片、炊いた米粒、果肉など多種多様な小さくて柔らかい物体の硬さを測定することが可能になります。コンパクトで、簡略・高性能な「やわらか計」を実現 堤の指導のもと、装置の開発を担ったのが、(株)ウミヒラです。市販を想定した場合に課題となったのは、装置の構成の大きさ、そして計測から弾性率の算出までの時間でした。そこで測定装置本体と電源ユニットを一体化することで、コンパクト化を実現。またセンサ出力などの精度を高めるとともに、操作プログラムを内蔵し、高速かつ自動で弾性率を算出することに成功しました。 しかしながら、微小な差圧を測定するために測定環境や試料の調整により測定結果に影響を受ける可能性があり、現在販売開始に向けて最終的な調整を行っている段階です。発売後は、生体材料の力学測定や培養細胞の評価を行う大学や研究機関の他、ゲルやゴムを扱う工業製品の開発部門、ゼリーや果物といった食品を扱う企業など、工業・食品産業での需要を見込んでいます。将来的には、再生医療分野も含め、幅広い研究・開発領域に販路を広げる予定で、今後、多様な領域で、研究・開発に貢献できればと願っています。お問い合わせ先(公財)京都産業21 連携推進部 産学公・ベンチャー支援グループ TEL:075-315-9425 FAX:075-314-4720 E-mail:sangaku@ki21.jpシリーズ「イノベーションの風」―(株)ウミヒラ・堤総研(株)体積弾性率測定装置“やわらか計”サンプル例サンプル測定室