ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-10(No.104)

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クリエイティブ京都M&T 2014-10(No.104)

開閉ボール(微粉炭、チャーを含む)配管方向高温・高圧の石炭ガスメタルシートスプリングルシートと呼ばれるボールよりも軟らかなパッキンの役割を果たす金属部品の表面でガスを遮断し、気密性を保ちます。熱膨張などによりボールとメタルシートの隙間は変化しますから、特殊なスプリングを搭載することで“メタルシートがボールを押す力”を調整し、機密性を確保しています。バルブの開閉時にボールをなめらかに動かすことが可能で、なおかつ漏れない、“絶妙の隙間”をいかにして維持するかが肝要です。ところが微粉炭やチャーがこの隙間に入り込んで焼き付いてしまったり、ボール表面に付着して焼き付くことでボール径が大きくなり、ボール自体が動かない、つまり、バルブが開閉できないという事態に陥り、大きなクレームになってしまいました。 一時は会社存続の危機を感じたほどでしたが、特殊な材料で作ったボールを採用したことが、突破口となりました。顧客の発電システムの調整により、微粉炭やチャーが減少したことと相まって、微粉炭やチャーがボール表面に付着したり、焼き付いたりすることがなくなったのです。次々に起こるその他の問題も一つひとつ解決していった結果、2008(平成20)年には定格出力25万kw、世界初の2000時間に及ぶ長時間連続運転を達成することができました。今もなお、25万kwを発電し続けています。技術の応用により、新たな顧客獲得を目指す 特殊メタルシートボール弁を表彰していただいたことで、メディアで紹介される機会も得られ、大変うれしく思っています。石炭ガス化複合発電は、海外でも研究が進められています。新たにプラントが建設される際には、受注に向けて積極的に動く所存です。昨年には、福島県に50万kwの石炭ガス化複合発電所2基が新設されることが決定しましたが、すでに、当社製品に引き合いをいただいています。 また現在、このバルブの技術をもとに、油井(原油採掘井戸)で使えるようなバルブの開発を進めているところです。油井では、砂利や泥とともに高圧で原油が噴き出し、ステンレスを腐食するサワーガスという二硫化水素も発生しますが、2009(平成21)年以降、一緒に特殊メタルシートボール弁の改良に取り組んできた大学との共同研究の結果、そうした環境に耐え得る材料を絞り込むことができました。開発を成功させ、現在、油井で使われている高価なバルブと同等の性能を持つバルブを安価に提供することを可能とし、新たな顧客を獲得できればと考えています。お問い合わせ先(公財)京都産業21 連携推進部 産学公・ベンチャー支援グループ TEL:075-315-9425 FAX:075-314-4720 E-mail:sangaku@ki21.jpシリーズ“京の技”―(株)ケイヴイシーManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.10 2 石炭ガス化複合発電の社内プロジェクトリーダーとして全体を統括し、稼働当初には、バルブのメンテナンスにも携わりました。受賞を機に、なかなか耳にする機会のない当社製品への評価を強く実感できたことで、従業員の仕事に対するモチベーションが高まっています。 私は普段からメンテナンスのために海外の顧客を訪問する機会が多いのですが、そのなかで、自社の技術をアピールすることの大切さや難しさを感じてきました。今後は、国内外のエンジニアリング会社が世界的な展開を目指している石炭ガス化複合発電というシステムにおける実績と、その技術に対していただいた評価を原動力に、積極的に世界にアピールしていきたいと思っています。技術担当からひとこと常務取締役 羽出山 仁 氏メタルシートボールバルブ内部メタルシートボールバルブ全景筒状の穴があるボールを回転させることによりバルブを開閉する