ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7･8（No.102）

概要

クリエイティブ京都M&T 2014-10（No.104）

設立以来、独自の基本方針、製品開発、サービス体制を貫くバルブ専業メーカー　当社は1987（昭和62）年に設立したバルブ専業メーカーです。バルブの開閉機構は多種多様で何百種類にものぼりますが、当社はもともと、バルブ内のボールを使って開閉するボールバルブと呼ばれるバルブからスタートしました。その後、顧客の要望に応える形でボールバルブ以外の様々な機種のバルブ、また、主流である鉄・ステンレス製以外の特殊金属を用いたバルブも手掛けるようになり、現在では国内外の発電所や石油関連・化学プラントなどにも当社の製品が採用されています。　そうした歩みの中で基本方針として掲げてきたのが、売買における現金取引の徹底と顧客との間でのドル建て決済です。海外にも生産拠点を持つ当社にとって、ドル建て決済は為替相場の変動の影響を受けにくく、製品の価格も為替リスクを考慮することなく設定できるため、競争力を高めることにもつながります。また、様々なライセンスの取得においては、どんなに困難であっても、私自身が「絶対に実現させる」という気概をもって取り組んできました。1997（平成9）年、世界的に評価が高い審査登録機関、ロイド・レジスター・クオリティー・アシュアランスのISO9001認証をわずか半年で取得できたのも、そうした姿勢によるものだと感じています。　迅速な技術サービス体制も、当社の特徴の一つです。連絡があれば、国内外を問わず、納品された現地に必ず48時間以内に駆けつけます。このサービス体制こそが、次のオーダーを受ける鍵と言えるでしょう。数あるバルブメーカーの中から、小企業である当社が選ばれるには納入企業との信頼関係が不可欠であり、迅速な対応を徹底しています。　従業員20数名の小規模な会社ですが、設立以来、常に成長し続けることができたのは、独自の基本方針を貫いたこと。また、製品の機種を増やしながら、技術の継承の場ともなる納入製品の保守・メンテナンスを通じた人材育成を大切にしてきたからこそだと思っています。高温・高圧に耐えるボールバルブの開発に成功し世界初となる石炭ガス化複合発電所の稼働に貢献　今回受賞したメタルシートボールバルブは、石炭ガス化複合発電（IGCC）プラントの建設を担う顧客から依頼を受け、2000（平成12）年頃から開発に取り組んできたもので、石炭ガス化複合発電プラントは、今後、世界的に増えていくと言われています。　石炭ガス化複合発電とは、粉状にした石炭を高温・高圧でガス化し、ガスタービンを使って発電をした後、さらに残った廃熱を再利用して、スチームタービンを動かして発電をするというものです。石炭を燃やし、その熱を水蒸気に変えてスチームタービンを回すだけの従来の石炭火力発電方式に比べて、発生するCO2が30％以上減少するうえ、上質石炭のみならず、質の劣る安価な石炭でも同様にCO2の発生を削減できることが立証されています。　開発を進めるなかで最も苦労したのは、2006（平成18）年、福島県いわき市勿来に建てられた世界初の実証プラントにおける実験です。石炭ガス化複合発電のシステムにおいては、高温・高圧の配管の中を微粉炭やチャー（燃焼灰）が流れます。顧客の研究所において厳しい仕様に耐え得るのかの検証を繰り返していた際には、微粉炭やチャーは配管内では付着せずに通り抜けていくという想定がなされていました。ところが実際のプラントでは、これらが配管内やバルブに付着し、焼き付いてしまったのです。　ボールバルブは、バルブ内部にある筒状の穴が開いたボールを管方向（ガスの流れる方向）に対して直角に回転させることによって開閉するもので、ボールの表面と、メタ1 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.10株式会社ケイヴイシー優れた技術・製品の開発に成果をあげ京都産業の発展に貢献している中小企業を紹介平成25年度「京都中小企業優秀技術賞」を受賞された企業の概要、受賞の対象となった技術・製品について、代表者にお話を伺います。第10回特殊環境におけるバルブの耐久性を大幅に向上したメタルシートボールバルブC o m p a n y D a t a代表取締役社長／小林 紘一所　在　地／京都市南区吉祥院西ノ庄西中町46-2資　本　金／7,428万円事業内容／各種バルブ類及び関連機器の製造並びに販売、バルブ・関連機器類の設計・製作に伴うコンサルティング業務等京シリーズの技取 材http://www.kvc-kyoto.co.jp/なこそ