ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

第1回イノベーション・経営人材育成セミナー京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクト第1回イノベーション・経営人材育成セミナー~人づくりによる組織改革と経営力の向上を目指して~6月19日に、第1回イノベーション・経営人材育成セミナーを開催しました。岡本正耿氏をコーディネータに迎え、2013年度日本経営品質賞を受賞された西精工㈱、2013年度関西経営品質賞「優秀賞」を受賞された㈱京進より代表者を講師に招き、『人づくりを通した組織改革』をテーマに、それぞれの経営革新の取組みと成果をお話いただきました。取材セミナー概要説明コーディネーターおかもとまさあき岡本正耿氏株式会社マーケティングプロモーションセンター代表取締役日本経営品質賞制度検討委員長昨今、世界の先進国はほぼ例外なくイノベーションを重点政策として宣言し、そのイノベーションの範囲を非常に広く捉えようとしています。そして、そのイノベーションを継続的に行うために、働く人が仕事の仕方を自分で考える、いわゆる知識労働を重視する傾向が見られます。以前、シンクタンクで日本の中小企業の調査に携わりましたが、そのなかで知識労働部門とそのベースとなる教育体系を有していた企業のほとんどは、大きな成長を遂げました。今回ご講演いただく2社は人づくりを通した組織改革に取り組んでおり、共通する要素がいくつもあるのではないかと思います。講演?人づくりから始まる組織風土改革西泰宏氏2013年度日本経営品質賞受賞西精工株式会社代表取締役社長所在地/徳島市南矢三町1丁目11-4創業/1923(大正12)年4月資本金/3,000万円従業員/243名事業内容/ナットを中心としたファインパーツの製造・販売U R L /http://www.nishi-seiko.co.jp/まずは安全で働きやすい環境づくりから当社は徳島に生産拠点を置き、自動車などに使われるナットを中心としたファインパーツの製造・販売を行っています。創業当時はボルトを製造していましたが、終戦を境にナットの製造に転換しました。現在、取り扱っている製品は1200種以上にのぼり、年間およそ30億個を出荷しています。広告代理店に勤めていた私が徳島に帰ってきたのは16年前のことです。後継者と目されていた従兄に当たる常務が急逝したため、その後継者として呼び戻されました。社員に向けて最初に挨拶したときの第一印象は、“暗い”です。仕事そのものがあまり楽しくない、そういう雰囲気でした。その頃の当社はまだ、いかに多くの製品を納品するかということに価値を置いていました。また社員の憩いの場である食堂は、日の光が入らない、風通しの悪い場所にありました。きれいな食堂は、何の価値も生み出さないと考えていたからです。そうした価値観や環境は、品質や技術、社員の心身の健康にも影響していたのではないかと思います。そのときに抱いた「きれいで明るい会社にしたい」という思いを形にしたのが現在の社屋です。一番明るく風通しのよい3階に食堂があります。在籍する社員は当時とほとんど変わりませんが、社内の雰囲気は驚くほど明るくなりました。今の当社は、身の丈で、安全で働きやすい環境を整えることに価値を置いています。大切なのは、トップが社員に大切にしていることを伝え、自ら実践すること。私自身、挨拶などを率先して行うところからスタートしました。振り返ると、守るべきものが見えてくる2006(平成18)年、当社にはなかった経営理念を制定しました。重視したのは「社員を幸せにする」という視点。なかなか思い描いた会社へと近づけないのは、40年前からある社是・社訓に、それがないためだと気付いたからです。経営理念は最初、ミッションのみでしたが、後にビジョンと行動指針も作り、よりわかりやすいものにしました。2013(平成25)年の改定を経て、現在に至ります。後ろは振り返らず、前だけを向いていこう。そんな思いで経営理念を作り、その理念が社員に浸透して、互いが互いを大切にする明るい雰囲気の会社になりましたが、目指すべき山をなかなか描くことができませんでした。なぜかと言うと、過去を振り返ることができていなかったからです。どのようなお客様に愛され、どのようなお客様が離れていったのか。いつ、どのような機会に協力会社との信頼関係が生まれ、続いているのか。経営者と社員の関係、神社など地域とのつながりはどのようなものだったのか。どのような価値観・技術を大切にしてきたのか。つぶさに振り返ると、創業者の深い想いと、これからも大切にしていかなければならない価値観、技術、強み、信頼関係などが見えてきました。それらを踏まえ、2010(平成22)年には創業の精神を制定しました。対話を通じて、経営理念の浸透を促進創業の精神と経営理念を共有する方法の一つに、毎朝行っている約50分間の朝礼があります。創業の精神を唱和した後、グループに分かれ、会社が本当に大切に思っていることをまとめた「西精工フィロソフィー」を題材にディスカッションを行います。最後はグループごとに意見を発表し、それに対して社員から質問もなされます。「西精工フィロソフィー」の素は、経営理念制定時に私が社員一人ひとりと行った、理念に対する考え方についてのやりとりです。こうした“対話”を通じてこそ、会社が大切にしていることが腹にストンと落ちてくるようになるというのが持論です。当社の創業の精神と経営理念をひと言で表現すると、「顧客や地域も含めた関わる人々の幸福を追求すること」です。それが着実に浸透していることが、私が講師を務める人間力向上を目的とした「リーダーシップ勉強会」のレポート、掲示板に貼られる社員一人ひとりのミッション・ステートメント、周囲との関わりの中での体験を報告する作文「私の一週間」にある言葉や行動などから実感できます。昨年の社員満足度調査の「毎週月曜日、出社するのが楽しい」という項目には、約9割が「非常にそう思う」「そう思う」と答えてくれました。当社では半期に一度、チームごとに、経営理念や今期の目標などを日々実践していることがわかる具体例をプレゼンする機会がありますが、このとき使う自己評価シートに経営品質の要素を網羅しており、社員は自然と、経営品質を理解できるようになります。経営品質の考え方を取り入れるメリットは、現状とビジョンのギャップを感じられるところ5 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.9