ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

京第9回シリーズの技優れた技術・製品の開発に成果をあげ京都産業の発展に貢献している中小企業を紹介取材日本画用の無鉛岩絵具「京上岩絵具」を開発鉛を含まず、環境に優しく、美しい発色の平成25年度「京都中小企業優秀技術賞」を受賞された企業の概要、受賞の対象となった技術・製品について、代表者にお話を伺います。ナカガワ胡粉絵具株式会社Company Data代表取締役/中川晴雄所在地/宇治市菟道池山24番地資本金/1,200万円事業内容/胡粉、絵具製造業いわえのぐ伝統の製法で胡粉、および日本画用岩絵具を製造http://nakagawa-gofun.co.jp/ここ京都・宇治は、江戸時代から胡粉製造が盛んな地域として知られてきました。当社は、明治30(1897)年の創業以来、そうした伝統を受け継ぎ、120年にわたって胡粉製造業を生業としてきました。胡粉とは、貝殻などの粉から作られる白色の顔料のこと。日本人形の肌の色や、日本画の下地、またかつては工業製品にも用いられ、日本の産業を支えてきました。当社では、天然のイタボガキの殻を原料とし、石臼を用いた伝統的な製法にこだわって現在乾燥した板流しの“落とし”作業も製造を続けています。まず、カキ殻を10年から15年もの間、天日にさらして風化させることにより、炭酸カルシウムなどの堆積層を形成させた後、粗砕きします。これを水と練り合わせて石臼で湿式粉砕し、さらに天日で乾燥させることで完成します。こうして途方もない時間と労力をかけることで、数百年を経ても輝くような艶を失わない美しい胡粉を作り出せるのです。胡粉製造に加え、日本画用の絵具の開発・製造に乗り出したのは、第二次世界大戦後です。戦争によって東京・京都の画壇で日本画用の絵具が不足し、お客様からも絵具を求める声が高まったことがきっかけでした。日本画用の絵具には、主に天然の鉱物を砕いて作る天然岩絵具と、人工的に作った原石を用いた新岩絵具があります。天然岩絵具は、天然の良質な鉱物・貴石を厳選して粉砕し、自然の美しい色をそのままに引き出して作り上げます。一方、焼き物の技術から発達した新岩絵具は、釉の体質に金属酸化物を混合し、800℃からほうけいさんなまり1000℃で焼成・溶融して硼珪酸鉛ガラスなどの天然鉱物に近い原石を作ることで生み出されます。当社は、昭和23(1948)年から本格的に新岩絵具の開発に着手し、焼成工程独自に80種類もの新岩絵具を製品化してきました。岩絵具は砕いた粒子の粗さによって、さまざまな濃度になりますが、粉砕で粒子の粗さを調整するには極めて高い技術が必要です。当社では、長年にわたって磨いてきた職人の技を駆使して粒子の粗さを自在にコントロールし、粗さ(粒度)によって10段階に分級すること、各段階の平均粒子を均等化・標準化する技術を確立しました。これによって、天然岩絵具40種類、および独自に開発した新岩絵具80種類ごとに10段階の粒度の粉末を製造し、計1,200色もの絵具を揃えることを可能にしています。バリエーションの豊富さは、全国でも指折りです。現在では国内の岩絵具市場シェアの80%を占めています。さらに今回、天然岩絵具、新岩絵具のいずれでもない新しい絵具として開発したきょうじょういわえのぐのが、鉛を含まない無鉛岩絵具、その名も「京上岩絵具」です。1 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.9