ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

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クリエイティブ京都M&T 2014-9(No.103)

研究報告ラピッドプロトタイピング樹脂成形品の簡易型利用に関する研究■基盤技術課宮内宏哉はじめにラピッドプロトタイピングとは、3次元CADデータを元にスライスデータを作成し、これを用いて樹脂成形品等を直接、積層造形する方法であり、近年、3Dプリンティング技術として注目されています。ラピッドプロトタイピングで成形可能な樹脂の種類は十数種類程度であり、工業的に利用されている樹脂材料のごく一部にすぎません。そこで、ラピッドプロトタイピング樹脂成形品をモデルにして簡易型を作製し、この簡易型を用いて樹脂部品等を試作する方法が行われています。更に、ラピッドプロトタイピング樹脂成形品自体を簡易型として利用することで、様々な樹脂材料の部品等をより迅速に試作することが可能となります。本研究では、十万円程度から購入可能な低価格3Dプリンター(熱溶解積層造形法)を用い、ラピッドプロトタイピングによりABS樹脂製の簡易型を作製し、エポキシ樹脂の成型に用いるために必要な離型性について検討しました。またラピッドプロトタイピング樹脂成形品を簡易型として用い、エポキシ樹脂の引張強度試験片の成型を試みました。実験方法ABS樹脂製のラピッドプロトタイピング樹脂成形品上に内径10mm、外径12mmのポリプロピレンチューブを設置し、このチューブ内にエポキシ樹脂を流し込んで成型し、引張試験による剥離強度を測定しました。この時、ラピッドプロトタイピング樹脂成形品の表面に塗装、離型剤、アルミニウム薄膜の3種類を単独或いは組み合わせた表面処理を施し、表面処理による離型性への影響を評価しました。実験結果及び考察ラピッドプロトタイピング樹脂成形品上に成型したエポキシ樹脂の剥離強度及び剥離後のエポキシ樹脂の表面写真を表1に示します。表面処理を施していない試料及びアルミニウム薄膜のみを施した試料では、剥離強度が200Nを超え、黄色のラピッドプロトタイピング樹脂成形品内部で破断しました。塗装及び塗装と離型剤塗布を行った試料では、ラピッドプロトタイピング樹脂成形品の破断は見られませんでしたが、エポキシ樹脂表面に塗装が付着していました。接着面上に塗装を施した後さらにアルミ薄膜を製膜した試料では、剥離強度が他の表面処理方法と比べて低く、またエポキシ樹脂の表面にはラピッドプロトタイピング樹脂成形品、塗装及びアルミ薄膜の付着は見られませんでした。表面処理無塗装塗装+離型剤アルミ薄膜塗装+アルミ剥離強度(N) >200 125 63 >200 46表面写真表1エポキシ樹脂の剥離強度及び表面写真次に、ラピッドプロトタイピングにより引張強度試験片成型用の簡易型を作製し、簡易型表面に塗装及びアルミ薄膜を形成した後、エポキシ樹脂の引張強度試験片を成型しました。エポキシ樹脂成型品の端部をカッターナイフで持ち上げることによって簡易型から離型でき、図1に示すエポキシ樹脂の引張強度試験片を得ることができました。図1ラピッドプロトタイピング簡易型を用いた引張強度試験片成型品写真お問い合わせ先京都府中小企業技術センター基盤技術課機械設計加工担当TEL:075-315-8633 FAX:075-315-9497 E-mail:kiban@mtc.pref.kyoto.lg.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.918