ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

シリーズ“京の技”―(株)山嘉精練本来シルク糸は色落ちしやすいという難点を持っています。濃い色を定着させるには染色時間を増やす必要があり、通常の精練方法では染色時にシルクを傷めてしまいます。そこで材料や精練過程に試行錯誤を重ね、フィブロインの分解量を自在にコントロールする技術を確立。長時間に及ぶ厳しい染色環境にも耐えられる精練方法を完成させました。また染色工程においても、染料の調合を数値化し、たとえ産地やロットの違うシルクであっても、お客様の求める色を何度でも再現できる技術を確立しました。こうした技術を用いてブラックフォーマルウェア向けに生み出したのが、既存の黒色よりさらに深く、濃い漆黒のシルク「ブラックトレジャー」です。染色工程で数々の化学反応や熱処理の組み合わせを試み、最適な設定を見つけ出し、これまでにない深い黒でしかも色移りしない染色に成功しました。シルクを作ることはできないか」。これまでだれも克服し得なかったこの難題に挑み、ついに完成させたのが、「SHIDORI」です。これまで培ってきた精練・染色技術を駆使し、シルク表面にはまったく加工を施さずに、家庭の洗濯機で洗える耐久性を実現しました。実証試験で、市販の洗濯洗剤を用い、ネットにも入れずに洗濯機で30回以上洗濯を繰り返した結果でも、コットンをしのぐ耐久性の高さが確かめられました。樹脂コーティングや撥水加工を経ていないので、シルク本来の美しい光沢や滑らかな肌触り、柔らかな着心地もそのまま保たれます。当社の技術の粋を尽くして生み出した、これまでにないシルク「SHIDORI」。いにしえの時代、神への献上物として奉納された織物「倭文(しどり)」に、シルク文化の継承に賭ける当社の思いを託し、その名をブランドに冠しました。シルクならではの光沢、肌触りはそのままに洗濯機でも洗える「SHIDORI」を開発技術開発を進めながら、一方で現代、さらに未来の暮らしに適用していけるシルクの使い方はないかと模索する中でたどり着いたのが、シルクをインナーとして使うという発想でした。蚕という生物由来のシルクタンパク質は、人間の分子構造にも極めて近いため、肌に馴染みやすく、肌の弱い人でも安心して身にまとうことができます。それ以外にもシルクには驚くべき特性がたくさんあります。紫外線を吸収し通さない他、天然の保湿成分が乾燥時に潤いを保つ一方、湿気が多くなると自発的に換気し、湿度を一定に保つ作用もあります。まさに着るだけで衣料内気候を整える肌着として最適な条件を備えている天然素材といえるでしょう。それにも関わらず、これまでシルクが肌着として普及しなかった最大の要因は、その扱いの難しさにあります。シルクの弱点は、非常にデリケートで傷みやすいこと。水でもみ洗いをしただけで繊維が毛羽立ち、硬く光沢もなくなってしまいます。こうした弱点を補った、いわゆる「ウォッシャブルシルク」も市販されていますが、その多くはシルクを保護する目的で表面に樹脂コーティングや撥水加工が施されています。しかしこれでは、シルク独特の効能が失われるばかりか、肌に触れる部分は樹脂ということになり、化学繊維を着るのと変わりません。「天然のシルクの良さを維持しながら、家庭でも容易に洗濯できるお問い合わせ先精練・染色技術を次世代へ、たゆまぬ努力を続ける「SHIDORI」は、瞬く間に業界で反響を呼び、大手女性下着メーカーや衣料品メーカーに採用いただくとともに、国内屈指の生活用品・衣料品メーカーなどから数多くの引き合いをいただいています。今後も「健康」と「美」に関心の高い方々を中心に需要はますます高くなっていくと予想しています。とりわけヨーロッパを中心とした海外のラグジュアリーブランドからの関心は高く、すでに依頼もいただいています。海外マーケットも含め、さらなる市場の拡大を図っていくつもりです。「SHIDORI」の名が京都から世界へ広がり、いつか世界に通じるグローバルブランドに育てばと願っています。現在は「SHIDORI」をはじめ当社の技術の特許出願を進める一方、新たな技術開発も進めています。様々な天然素材が発熱する技術も開発し、プラス2℃の発熱効果を持つシルクを完成させました。今後、新機能肌着の素材として提案していきたいと考えています。技術革新を繰り返しながら、受け継いだシルクの精練・染色の技とともに、モノ作りへの心遣いを次世代へと継承していく。その担い手として、今後もたゆまぬ努力を続けていくつもりです。「SHIDORI」の凛とした気品(公財)京都産業21連携推進部産学公・ベンチャー支援グループTEL:075-315-9425 FAX:075-314-4720 E-mail:sangaku@ki21.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.7・86