ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

シリーズ「イノベーションの風」―(株)栄養・病理学研究所・(有)日吉ファーム未利用資源である茶制枝クズを使った飼料の開発と、豚肉のブランド化を目指した技術開発緑なす宇治田原町の茶畑茶葉には一般に、カテキンやテアニンなどの有効成分が含まれています。私たちが作成した乾燥粉末飼料でも、これらの有効成分は失われることなく、1年間の保管を経ても劣化しないことを確かめました。とりわけカテキン類には、豚の整腸作用が期待できます。成分分析の結果でも、豚に感染すると突然死の原因になる食中毒菌の一種、ウルシュ菌の抑制効果が明らかになりました。続いて日吉ファームでは、生後2ヵ月程度、約30kgの幼豚100頭を対象に、約120kgの肉豚に成長するまでの約3ヵ月間、茶葉を配合した飼料を与えて検証を試みました。まず、2ヵ月齢の幼豚に茶葉を低濃度配合した飼料を与え、50~60kgにまで成長させます。肥育期以降、段階的に茶葉の配合量を増やし、最終的には茶葉を高濃度配合した飼料で出荷可能な重量まで飼育しました。その結果、茶葉を配合した飼料を与えても、通常の飼料を与えた豚と遜色ない生育スピードで十分な体重にまで育つことが確かめられました。飼育上の大きな変化は、茶葉を配合した飼料を与えると、糞便お問い合わせ先に茶葉のにおいが混じり、不快な臭いが大幅に軽減されたことです。畜産農場において臭いは、働く人、周辺住民にとって大きな問題です。今回の研究で、畜産環境の改善という点でも茶葉配合飼料活用の可能性が示されました。次いで糞便の成分分析の結果からは、酪酸濃度の増加が見られ、腸内環境の改善効果も推察されました。また、肉質を分析したところ、茶葉を投与した豚のバラ肉中には、無添加の豚肉に比べてビタミンEの含有濃度が高いことを確かめました。これについてはさらなる研究を待つ必要がありますが、茶葉配合飼料が肉の栄養価にも影響を及ぼす可能性が示されたといえます。さらに、食味調査も実施。味に大差はなかったものの、食味者の実感として時間の経過ともに出てくる食肉特有の臭み、いわゆる「豚臭み」が抑えられるとの知見を得ました。「京健美茶豚」の知名度向上と販路拡大が課題実証研究の後、茶葉配合飼料を与えた豚肉を「京健美茶豚」と命名し、JA京都を通じて試験販売を実施しました。試験販売に留まらず、安定的な生産・供給を可能にすることが、次の目標です。今後の課題は、「京健美茶豚」の知名度を上げるともに、販路を広げること。宇治田原町の茶農家やJA(全国農業協同組合連合会)、食肉卸業者、南丹市の他の養豚業者などと力を合わせ、全国でも指折りの茶の産地・宇治田原町で育った茶葉を食べて育った豚「京健美茶豚」を多くの消費者の食卓に届けたいと願っています。元気に育つ京健美茶豚(公財)京都産業21連携推進部産学公・ベンチャー支援グループTEL:075-315-9425 FAX:075-314-4720 E-mail:sangaku@ki21.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.7・82