ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

Wind of取材イノベーションの風第7回企業連携・産学公連携による研究開発補助金を活用しイノベーション創出を目指すinnovation中小企業を紹介します。(左)株式会社栄養・病理学研究所取締役部長農学博士塚原隆充氏(右)有限会社日吉ファーム代表取締役北側勉氏2011(平成23)年10月から1年間の「中小企業技術開発促進事業<企業連携型>」で、茶制枝クズを使った新しい飼料の共同研究に取り組まれた両社。発案者である(株)栄養・病理学研究所の塚原氏と、連携企業として実証研究を担当した(有)日吉ファームの北側氏からお話を伺いました。代表企業株式会社栄養・病理学研究所Company Data代表者/中山啓三所在地/綴喜郡宇治田原町立川古池谷7-2電話/0774-99-7331資本金/1,000万円設立/2004(平成16)年1月22日事業内容/試験研究の受託、病理標本作製、その他連携企業有限会社日吉ファームCompany Data代表者/北側勉所在地/南丹市日吉町上胡麻榎木谷11電話/0771-74-0307資本金/1,000万円設立/1981(昭和56)年10月8日事業内容/養豚業http://kyoto-inp.cc/http://www.kyochiku.com/hiyoshifarm/パンを利用した自家製飼料で良質の豚肉を生産日吉ファームは、1974(昭和49)年、南丹市日吉町の山中にオープン。周囲を緑に囲まれた静かな環境で養豚業を営んできました。その後、1981(昭和56)年に法人化し、現在、繁殖農場と肥育農場の2ヶ所で8200頭を超える食肉用の豚を飼育しています。豚は非常にデリケートな動物のため、衛生管理やストレス軽減に気を配って飼育する必要があります。当社では、交配・分娩・哺育・育成・肥育といった豚の生育段階ごとに専門の担当者がつき、飼養管理を徹底しています。また、定期的に肉質や繁殖性を調べ、より良い血統の豚をかけ合わせることで、選りすぐりの血統を維持しています。繁殖は年に2回。1頭の母豚から産まれる合計20頭前後の子豚を約6ヵ月かけて肉豚に育て上げます。中でも当社の養豚を特徴づけているのが、寒暖差の激しい飼育環境と当社独自の飼料です。飼料にはパンを50%加え、独自に配合した自家製を使用。パンに含まれる麦を食べて育った豚は、肉に甘味が増し、おいしくなることは研究でも知られています。厳しい自然環境に耐え、自家配合飼料で育った当社の豚は、赤身の中までサシ(脂身)の入った霜降りで、柔らかな肉質と脂身の上品な甘みが際立ちます。こうして最高の状態に仕上がった豚に「京丹波高原豚」のブランド名を冠し、京都府下をはじめ関西全域に出荷。多くのお客様にご好評をいただいています。2007(平成19)年大阪南港市場豚枝肉コンクール最優秀賞を受賞した他、2013(平成25)年、第1回西日本豚枝肉コンクールで最高位である名誉賞(農林水産大臣賞)を受賞など、数々の受賞により、その味と肉質の良さが認められています。食品業界を中心に受託・共同研究を実施一方、栄養・病理学研究所は、2004(平成16)年の設立以来、食品業界を中心とした企業や大学、研究機関から依頼を受け、試験研究や共同研究、病理組織標本作製、病理診断などを手がけています。近年、食品業界においてもエビデンス(証拠・根拠)を示して効果や機能を実証することが求められる傾向が強まっています。当社の強みは、農学博士、獣医師をはじめ、高い専門性を備えた研究員を擁し、他にはない研究成果をあげるだけでなく、論文作成・専門誌への掲載、各種学会発表など、成果を形にするところまで請け負うところです。「養豚現場における市販ワクチン投与前後のアセトアミノフェン製剤投与効果」、「市販インフルエンザウイルスワクチン投与による細胞性免疫の誘導」、「カシューナッツ殻液給与がウシルーメン内発酵,メタン産生量および有効成分の分布に及ぼす影響」など、2013年度だけでも多くの研究成果を各種学会に発表。企業の商品開発や大学の基礎研究を陰ながら支えています。受託研究に加え、当社で研究やビジネスのシーズを見出し、独自に研究開発を進めることもあります。今回、日吉ファームと共同で行った茶葉を利用した飼料の開発も、当社の企画から生まれたものでした。宇治田原町産茶葉を配合した飼料で効果が続々栄養・病理学研究所のある宇治田原町は、京都を代表する茶の産地です。この地域の茶栽培では、玉露などの高級茶に用いられる上質の一番茶葉だけを厳選して摘み取り、その後に育つ二番茶、三番茶用の葉は秋にすべて刈り取って、堆肥にするのが一般的です。未使用のまま畑に戻される茶葉は、宇治田原町だけで年間200tにも上ります。それだけの量が確保できれば、畜産にも応用できると考えたことが、飼料開発の始まりでした。栄養・病理学研究所の研究チームが、宇治田原町で利用されなかった秋制枝茶葉を乾燥させて、粉末状の飼料を作成し、茶葉に含まれる有効成分を調べるともに、実際に日吉ファームの豚に飼料として与え、生育を検証しました。1 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.7・8