ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

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クリエイティブ京都M&T 2014-7・8(No.102)

京都発!我が社の強み大槻工業株式会社http://www.ohtsuki-kougyo.co.jpフィルム表面の高機能化で多様化するニーズに対応代表取締役大槻亨氏金銀糸製造で培われたPETフィルムへのコーティング技術をコア技術として、フィルムへの様々な機能を付与することに取り組み続ける大槻工業株式会社の大槻亨社長にお話を伺いました。京の伝統産業が培ったコーティング当社は西陣織に使われる金銀糸素材の製造業として大正10年に祖父が家内工業として創業し、昭和40年に大槻工業株式会社大槻商店(現在の大槻工業)として法人化されました。創業当時、金銀糸の製造は、和紙に漆を塗り、金箔や銀箔を貼り付け、細く裁断して糸に巻き付けるという製法でした。戦後、PETフィルムの工業生産が本格化し、金属の真空蒸着が始まったことから、金銀糸の製法も大きく変わりました。金・銀・アルミニウム等を蒸着したPET上にカラーインクを塗布することで、様々な色に着色します。グラビア印刷による連続処理が可能となり、生産性が大きく向上しました。また、着色プラスつや消し等でカラーバリエーションは数千種類にも及ぶようになりました。当社は業界の中で着色工程を担当してきました。厚さ6~25μmのフィルムに均等に着色することがコア技術となり、「大槻は色を合わせるのが得意」と言われるようになりました。金銀糸は着色したフィルムをマイクロスリッターで裁断して製造します。PETフィルムの長さは品種によっては、10,000mにもなりますので、フィルムの最初から最後までを同じ色に塗布することが求められます。その後、西陣織に使われる金銀糸の需要が減少したことから、フィルムに機能性塗料を塗布して、様々な機能を付与する加工に業務内容を多角化させました。フィルムに多様な機能を付与する表面処理大槻工業は、これまで培ってきた『均一に塗る』技術を活かして、産業素材への転換を図ってきました。初めは簡単な帯電防止剤の塗布からでした。当時は、着色と異なり目視では確認できないなど戸惑いながらも、表面抵抗を測定するなどの評価法を取り入れてきました。その中から、徐々に経験とカンによる品質管理からデータに基づく管理へと発展進化していきました。現在、当社の表面処理は、主に次の5つに分類されます。①離型コート、②マット加工、③易接着コート、④コロナ放電処理、⑤アニーリング処理です。それぞれについて簡単に紹介すると、①離型コート:シール・ラベルなどの裏紙に相当する糊等を剥がしやすくするための離型剤を塗布する処理です。離型性の度合いは種々調節することが可能です。②マット加工:フィルムの表面をつや消しにする加工です。要望に応じてつや消しの段階を調節することが可能です。③易接着コート:印刷用インキや定着剤の密着性を良くするための加工です。④コロナ放電処理:フィルム表面のぬれ性・接着性を改良するための処理です。広い意味では易接着コートに含まれると考えています。⑤アニーリング処理:PETフィルムは2軸方向に延伸させて製造されるため、内部に歪みが残留し、加熱により寸法が変化します。そこで前もって熱処理することで、加工後の寸法変化を小さくする処理です。これらの機能のいくつかを組み合わせることで、機能や用途はますます広がっていくと考えています。13 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.7・8