ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

シリーズ「イノベーションの風」―(株)扶桑プレシジョン・HILLTOP(株)従来にない高精度で低価格帯のオリジナル測色計を開発受注から製作・納品までデジタル化した『HILLTOP SYSTEM』を開発し、受注から納品まで、新規受注で最短5日、リピート受注で最短3日という独自の生産体制を作り上げました。現在は、精密機器や精密部品の加工・製造のほか、置くだけで部品の精度判定が可能なセンサなどの装置開発、オリジナル製品の試作開発も数多く手がけています。各連携先の専門性を生かして新製品を開発分光測色計の開発にあたって、色センサのアプリケーションやデバイスについては、扶桑プレシジョンの専門分野です。しかし、デザインやボディ製作は専門外のため、デザインは京都工芸繊維大学に、ボディ製作はHILLTOPに依頼しました。開発は、京都工芸繊維大学のデザインと扶桑プレシジョンで設計・製作されたデバイスを基に、HILLTOPがボディの構想・設計・製作を行うという役割分担で進められました。HILLTOPは、持ち前の技術力とスピード対応でボディを約1ヶ月半で製作し、測定データをパソコンで見ることができる小型の分光測色計『PRISMOCYCLOPS』が完成しました。この商品は、日本の「2010年度グッドデザイン賞」を受賞しています。これらの実績を元に、京都産業21の中小企業技術開発促進事業を活用してさらなる新製品の開発に着手しました。そもそも、『PRISMOCYCLOPS』は試作品という両社で初めて開発した分光測色計『PRISMO CYCLOPS』位置づけで開発した製品で、デザイン性や信頼性は高いのですが、電気回路の機構は非常にシンプルです。そのため高度な測定精度を持つ一方、艶出し加工を施した金属やプラスチックなど光沢や反射性のある物の測定に弱いという課題もありました。新製品では、屋内はもちろん農業や建設の現場など屋外使用にも耐えうる分光測色計をコンセプトとして開発に取り組みました。本体の電気回路設計では、電源のない野外使用を想定して、消費電力を削減。通信機構は、BluetoothRからパソコンなど端末側の消費電力が少なく通信面の自由度も高いWi-Fiへ変更し、iPhoneやiPadでも測定データを見ることができるようにしました。また、測定時の光照射の角度を工夫して、光沢や反射性のある物も高精度な測定が可能になりました。さらに、iPhoneやiPadに表示される画像の色調整を行うもの、ディスプレイを測色して色補正するものなど、測定結果を画像表示する際のアプリケーションも充実させました。新製品は、センサ部分を対象物に当てアルミ製の丸いボタンを押すと約0.5秒で測定でき、ローレット(つまみ)を右へ回すことで測定結果を本体のディスプレイに表示できるようにしました。デザインだけでなくボディ自体の美しさや使用感にも配慮し、ボタン表面には同心円の模様、ローレットは技術的に難しい削り出し成形によるギザギザの形状を取り入れ、アルミの持つ美しさを表現。また、使用時の心地よさを考えて、ローレットを回すとカチカチと独特の音と手応えを感じるように設計しました。これらの工夫には、HILLTOPのものづくりへのこだわりとアルミ加工技術が生かされています。高精度と低価格を実現し、新たな市場を開拓する2012(平成24)年9月に完成した中小企業技術開発促進事業補助金を活用した『PRISMO MIRAGE』『PRISMO MIRAGE』は、高精度を誇り、そのデザイン性からドイツの世界的デザイン賞「iF product design award2013」を受賞しました。同等のスペックをもつ従来品が約150万円で販売されている中、約60万円という低価格を実現し、すでに印刷関係のほか食品の鮮度測定やトンネルの補修箇所の検査など幅広い用途・現場で使用されています。現在は、アメリカの国際見本市『Pittcon2014』に出展するなど、販路拡大に取り組んでいる最中です。今後は、さまざまな研究機関で『PRISMO MIRAGE』を使ってもらい、測定実績を高めていく予定です。長い目で販路を開拓していく予定ですが、高性能で低価格帯の分光測色計は世界的にも稀な製品で、大きな可能性を感じています。分光測色計は可視光の波長を測定する機器です。今回の開発経験を生かして、非可視光の波長を測定し、肌の水分や果物の糖分などさらに幅広い物の中身を非破壊で検査できる小型計測計など、さらなる革新的機器の開発にもチャレンジしたいと考えています。お問い合わせ先(公財)京都産業21連携推進部産学公・ベンチャー支援グループTEL:075-315-9425 FAX:075-314-4720 E-mail:sangaku@ki21.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.64