ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

研究報告凍結昇圧装置を用いたタンパク質変性に関する研究凍結昇圧装置によるタンパク質の変性効果を検討するために、加熱、油圧昇圧及び凍結昇圧処理による卵白に対する変性作用を比較しました。油圧昇圧卵白ゲルが加熱卵白ゲルと同じ硬さを示したのに対し、凍結昇圧卵白ゲルは約12倍の硬さを示し、凍結昇圧卵白ゲルの水様性卵白にのみ、繊維状凝集体が配向した構造が見られましたので、その内容について紹介します。なお、本研究は京都女子大学八田一教授との共同研究として行いました。■応用技術課上野義栄はじめに凍結昇圧法は、従来の油圧ポンプによる加圧法に変わる加工技術であり、加圧にポンプ等の機械設備を必要とせず、冷凍庫中で凍結昇圧容器ごと冷却するだけで、高圧力が発生する。また凍結昇圧法は、小型で簡便な方法で高圧力と同時に低温と凍結という3つの条件を同時に発生することより、タンパク質の変性、微生物の殺菌及びウイルスの不活化等の効果が確認されている。本研究では、凍結昇圧法によるタンパク質の変性効果を明らかにするために、鶏卵の卵白に対する物性変化について検討した。表各種卵白ゲルの特性ゲル化方法加熱油圧昇圧凍結昇圧ゲル様式離水匂い、味硬さ(㎏/ ? )弾力性白濁±硫黄臭0.07+白濁+生0.07+白濁++生0.86++実験方法その他気泡光沢、滑らか繊維状新鮮な鶏卵を割卵後に、卵黄と分離した卵白を使用した。卵白液は、濃厚卵白と水様性卵白に分けた。また、卵白液をホモジナイズしたものを均質化卵白とした。卵白液を、加熱(90℃、30min)、油圧昇圧(三菱重工業㈱製MFP-7000:600MPa、30min)、凍結昇圧(㈱第一技研製DHP-1000:-25℃、16 h)の3種類の方法でゲル化させた。各種処理により変性した卵白ゲルは、テクスチュロメーター(㈱全研製GTX-2-IN)による硬さ測定と、日立走査型電子顕微鏡(S-800)による拡大観察を行った。が濃厚卵白ゲルよりも、タンパク質の凝集体が大きくなっていた。一方、凍結昇圧卵白ゲルでは水様性卵白ゲルにのみ、繊維状凝集体が配向した構造が見られた。この繊維状凝集体を形成していることが、凍結昇圧卵白ゲルの硬さに影響していることが示唆された。実験結果及び考察均質化卵白液を、加熱、油圧昇圧及び凍結昇圧の処理を行い、ゲル性状、離水性、風味及び弾力性について比較した(表)。卵白液は全てのゲル化方法で白濁ゲルへ変化したが、凍結昇圧卵白ゲルは、離水が目立った。油圧昇圧卵白ゲル及び凍結昇圧卵白ゲルは、生卵白の匂いや風味を保っていた。油圧昇圧卵白ゲルが加熱卵白ゲルと同じ硬さを示したのに対し、凍結昇圧卵白ゲルは約12倍の硬さを示した。また、走査型電子顕微鏡により拡大観察(3,000倍)した結果を右図に示す。加熱卵白ゲルは、濃厚卵白ゲルと水様性卵白ゲルでほぼ同じ硬さを示すが、その構造においても同じであった。また、加圧卵白ゲルでは、水様性卵白ゲルと濃厚卵白ゲルで構造が異なっていた。油圧昇圧卵白ゲルでは、水様性卵白ゲルお問い合わせ先図水溶性卵白及び濃厚卵白ゲルの構造※詳細は技報No.41に掲載しています。京都府中小企業技術センター応用技術課食品・バイオ担当TEL:075-315-8634 FAX:075-315-9497 E-mail:ouyou@mtc.pref.kyoto.lg.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.616