ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

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クリエイティブ京都M&T 2014-6(No.101)

研究報告無機ナノ粒子を利用した高機能部材の調査・研究液中パルスプラズマ法により作製したナノ粒子の作製条件によるナノ粒子形状の違いや、素材への吸着性について検討しました。電解液の種類や電極の金属種の違いにより、ナノ粒子の粒径サイズや形状に違いが見られ、また、素材への吸着もプラズモン色を保ったまま吸着可能であることがわかりましたので紹介します。■基盤技術課松延剛はじめにナノ粒子とは、ナノメートル(100万分の1mm)オーダーのきわめて小さな粒子であり、バルク構造体と比べ、多くの優れた機能を発現する特徴を持っています。そのため、幅広い産業分野への応用が期待され、すでに多くの製品に利用されています。今後もナノ粒子の産業利用が進むと考えられ、簡便に産業利用に活用できる技術の構築が必要となってきます。本研究では、実験室レベルで、安価で簡便にナノ粒子の特性を利用できる技術の構築とナノ粒子特性の把握や技術蓄積を目的として、作製した無機ナノ粒子について、作製条件によるナノ粒子形状の違いや、吸着性等について調査し、ナノ粒子を利用した高機能部材への応用展開の可能性を検討しましたので紹介します。液中パルスプラズマ法によるナノ粒子の作製液中パルスプラズマ法は、水中でプラズマ(グロー放電:液中プラズマ発生用電源(MPP-HV02:㈱栗田製作所))を発生させることでH?O分子をガス化分解し、生成した水素ラジカル(H・)によって金属を還元して微粒子を作製します。この作製法は、特殊な還元剤を必要としないため、プロセスが容易であり,また、高価な真空装置なども不要のため、低コストでナノ粒子を大量に作製できる方法として期待されています。作製したナノ粒子のSEM観測結果より、球状形状(粒径20nm~50nm程度)、糸状形状(横幅10~20nm程度)、金平糖形状(~500nm程度)と電極金属種や電解液(水に導電性を発生させるために加えた極少量の液)の違いで様々な粒子形状が作製されていることを確認しました(図1)。図2電解液条件の異なるAgナノ粒子のSEM像Ag電極では、電解液の条件を変化させることにより、球状以外にも花びら状、棒状、金平糖状、混合系状など、様々な特異形状の粒子を作製することができました(図2)。この特異形状の粒子は、球状粒子よりも表面積が大きく、吸着性、導電性等の特性向上が見込まれると考えられ、活用技術についても今後検討していきたいと考えております。素材へのナノ粒子吸着の検討赤色のAu、黄色のAgナノ粒子含有液中に粒子径200nmのTiO2粒子を混入させた場合と、沈殿・凝集した黒色のAuナノ粒子含有液中にCu板を浸漬させた場合について、ナノ粒子の吸着を確認しました(図3)。液の色を保持した状態で、TiO2粒子やCu板にナノ粒子が吸着することを確認しました。また、Auナノ粒子吸着TiO2粒子を試料の包埋等に使用するポリエステル系樹脂に混合させると色を保持したまま混合することができました。図3粒子が吸着した素材の状態まとめ図1作製したナノ粒子のSEM像作製条件により、様々な形状のナノ粒子を作製することが可能であり、粒子のプラズモン色を保ったまま、別の素材へ吸着させることができることを確認しました。今後、他の活用技術についても検討していきたいと考えております。お問い合わせ先※詳細は技報No.41に掲載しています。京都府中小企業技術センター基盤技術課材料・機能評価担当TEL:075-315-8633 FAX:075-315-9497 E-mail:kiban@mtc.pref.kyoto.lg.jp15 Management & Technology for Creative Kyoto 2014.6