ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

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クリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

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クリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

老舗フォーラム~100年経営を考える~を提供してくださり、今日まで続けてくることができました。私たちが重視するのは、八ッ橋を絶やさないこと。厳しい時代は店舗を縮小し、儲けることより存続することを最優先にしているうちにいつの間にか325年も経っていました。私自身の危機は、私が31歳の時に先代である父が亡くなった時でした。跡を継いだ時の不安は言葉に言い尽くせません。今日があるのは、家族同然に支えてくれた社員のおかげです。リーダーシップと経営基盤、人材が重要辻田?危機を乗り越えた時、どのような学びを得ましたか。服部?お二人の話を聞いて当社とも共通だと思った教訓が三つあります。それは、トップのリーダーシップと経営基盤力、そして人材の重要性です。オーナー企業の場合は特に、危機から脱出できるか否かはトップのリーダーシップにかかっています。加えてトップの思いをいかに社員と共有するかも重要です。二つ目は、経営基盤を盤石にすること。美濃吉さんの川魚料理、聖護院八ッ橋さんの八ッ橋、そして当社の化学機器と、やみくもに事業を広げず、主軸となる事業を深掘りしていくことが、経営基盤を強くするのだと思います。そして最も重要なのが、人です。危機に陥った時ほど社員の力が試されます。だから平時に社員が生きがいを感じ、前向きに仕事に取り組める環境を提供することが、企業継続には欠かせません。辻田?服部さんのお話に加え、鈴鹿さんがおっしゃったように、地域の方々とのつながりや支えも、企業継続に重要な役割を果たしているのではないかと思います。佐竹?地域の方々はもちろん、京都料理組合などの同業者の精神的な支えも財産です。京都料理組合は容易には入れません。それだけに組合員の結束は固く、同じ志を持って切磋琢磨し、苦しい時には助け合う絆ができています。鈴鹿?当社も同業関係を大切にしています。吉田聖護院地区に同業の店舗が集中していることもあり、かつては原料を融通し合ったり、商品を提供していたこともありました。「八ッ橋を後世に残していきたい」という思いを共有し、私欲を廃して結束する雰囲気があります。求するうちに自然と各社が得意分野に特化するようになりました。ものづくり企業にとって京都には、地の利もあります。世界にその名を知られているため、東京を経ずに京都から直接海外進出する企業が少なくありません。また30を超える大学があり、産学連携しやすいこともメリットです。辻田?ファミリー企業の強みと課題を聞かせてください。佐竹?強みは、「命を懸けている」ということです。会社がつぶれた途端、オーナーである私たちの生活も破綻してしまいます。真剣勝負だから強いのです。また経営はマラソンではなく駅伝だと私は思っています。次の代にバトンタッチすることを考え、今から孫も教育しています。その繰り返しが継続につながるのだと思います。鈴鹿?結束力の固さも、ファミリー企業の強さの一つでしょう。次代を継ぐことになる娘は、新しい試みにも取り組んでいますが、「八ッ橋を継承していく」という軸はまったくぶれません。佐竹?最大の課題は社員教育、すなわち従業員満足度の向上です。具体的には企業理念、ミッション、ビジョンを掲げ、コミュニケーションの活性化により全従業員で共有することが不可欠です。辻田?後継者選びで考えておられることはありますか。服部?同族ではありませんが、当社の場合も歴任者を見ると、結果として企業の伝統や文化を受け継ぎ、大切にする人がそれを次代に引き継ぐ任を与えられているように思います。私も社長に就任した時、島津の歴史を必死に勉強しましたし、今でも毎年初代の命日には家内と二人で墓前に参っています。辻田?創業家以外の社員にも老舗の重みが伝わり、行動様式が変化するということなのでしょう。結束力の固さが強み、課題は理念を社員と共有すること辻田?どうしたら持続的経営が可能になるかお教えください。服部?重要なのは、先ほど申し上げた通り、主軸事業を深掘りすることです。京都には一見すると似ているものづくり企業がたくさんありますが、実はほとんど「棲み分け」ができています。他を真似せず、オリジナリティを追お問い合わせ先(公財)京都産業21企画総務部企画広報グループTEL:075-315-9234 FAX:075-315-9240 E-mail:kikaku@ki21.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.54