ブックタイトルクリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

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クリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

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クリエイティブ京都M&T 2014-5(No.100)

ライフサイエンス・ビジネスセミナー家次恒氏(シスメックス株式会社代表取締役会長兼社長)世界で存在感を示すシスメックス当社は、臨床検査機器や検査用の試薬、ソフトウエアの開発から製造、販売、サービス&サポートまでトータルに手がけています。事業領域は、臨床検査の中でもとりわけ血液検査や生化学検査などを行う検体検査領域に焦点を絞っています。グローバル展開に軸足を置き、国内関係会社9社に加えて海外に52社の関連会社を有し、全従業員の半数を海外の従業員が占めています。製品もグローバルでの存在感が高いのが特長です。ヘマトロジー(血球計数)分野の世界シェアは45%を超え、世界No.1を獲得しています。機器メーカーでありながら、実は機器そのものの収益性は高くありません。機器ともに提供する専用試薬やサービス&サポートで安定的な収益を上げる一方、試薬になくてはならない機器開発に投資するのが、当社のビジネスモデルです。当社の強みは、製品とそれを支える「メイドインジャパン」の高い品質、血液検査など感染のリスクを伴う作業の安全性を高めるロボティクス技術。また医療機器分野では機器の日常的なモニタリングとサポートが不可欠です。それを可能にするオンラインのグローバルネットワークや、世界規模の直販とサービスのネットワークを築いていることも強みです。社会の環境に適合してビジネスモデルを変遷創業以来46年、当社は世界や社会の環境に適合しながらビジネスモデルを変化させてきました。1960年代以降、国民皆保険による医療需要の爆発的な高まり、80年代の医療の多様化や高速化などに対応。90年代までは国内での売上が全体の7、8割を占めていましたが、90年代にグローバル展開に踏み切ったことが今日の成長につながっています。国内では高齢化が加速して医療費削減が重要課題となり、生産性の向上や人件費の削減につながる付加価値を提供することでお客様を獲得してきました。2000年代に入ると医療の質へのニーズが高まり、病院全体でのトータルソリューションを提案するように。さらに2010年以降はポストゲノムの時代と捉え、先進国での個別化医療への進展を見込んでそこにフォーカスしています。こうした著しい変化の中、1990年代から2000年代に至る10年間で、世界のトップ10企業のうち5社が入れ替わりました。そうした業界再編の中で当社は2000年代に初めてトップ1 0に入り、2012年現在、9位を堅持しています。付加価値マーケティングで市場を拡大次に当社が手がける「付加価値マーケティング」の事例を紹介しましょう。ロボティクスによって感染防御と生産性向上に寄与するのもその一つです。カスタマーサポートでは、修理に留まらず、オンラインでのモニタリングで機器の精度を管理するともに、学術セミナーを毎年開催するなど、新興国での医療従事者の知識向上にも貢献しています。また日本で初めて保険適用された乳がんリンパ節転移迅速検査システムを開発するなど、これまでにないクリニカルバリュー(臨床価値)を提供し、先端医療に貢献しています。さらに現在はアジアに着目。アジアの医療水準の向上に貢献することも重要なミッションだと考えています。ヘルスケア市場は着実に拡大しています。先進国では、高齢化や医療技術の高度化によって需要が増加。一方、アジアや新興国では人口増加が進み、医療ニーズが高まるともに医療水準の向上が必須課題となっています。こうした刻々と変わりゆく環境を正しく捉えることなしに企業の持続的成長はありません。日本のものづくりは「知識集約型」でこそ世界と勝負できます。そのためには技術革新が欠かせません。京都は、医療や科学に強い大学ともに医療機器の企業や技術が発達してきた歴史があり、高い技術を持った中小企業も数多くあります。そうした企業やアカデミアといかに連携するかが重要です。求められるのは、リスクを取って果敢に挑むチャレンジ精神です。今後京都から新しい医療機器や医療産業が生まれることを私も期待しています。お問い合わせ先(公財)京都産業21ライフサイエンス推進プロジェクトTEL:075-315-8563 FAX:075-315-9062 E-mail:life@ki21.jpManagement & Technology for Creative Kyoto 2014.52